向暑の候、会員の皆様におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
去る6月15日(土)に、定時会員総会、セミナー及び懇親会を開催いたしました。ご参加いただきました会員の皆様、誠にありがとうございました。
今年の梅雨は、全国的に例年より1週間から10日程度遅れたものの、梅雨明けの時期は例年並みになるようで、降るときはザッと降り、晴れると危険な暑さが隣り合わせとなるようなメリハリ型と予想されています。梅雨入り前にも、線状降水帯による集中豪雨がありましたし、最近の天候は、我々の予想を超えて異常な状態が続いていますので、体調には十分ご留意願います。(YF)
今日この頃
このページには、会員の近況を伝える投稿記事等を掲載します。
行政書士登録6年目(由良卓郎) |
第1 はじめに
私は、平成30年8月1日付けをもって、福山公証役場公証人を退任しました。
福山の公証人を拝命した縁から今も福山で暮らしています。
公証人退任を前に、公証人退任後どう暮らしていくかを考えた末、公証人の経験が活かせるとの思いで家事調停委員の申込みをし、同年10月から4年間、広島家庭裁判所福山支部で家事調停委員をさせていただきました。
公証人は、主に当事者間で合意したことを公正証書にしますが、調停は、当事者間で合意できなかった事案について当事者双方から個別に事情を聴きながら合意を目指す作業をします。したがって、公証人としてはあまり接することのなかった、合意できない多様な事情に接することになります。つらくも貴重な経験をさせていただきました。
調停委員任命当初は担当事件が少なかったこともあり、行政書士登録をすることにしました。事務所を探して回り、裁判所の前に以前司法書士事務所だった貸事務所を借りることができました。
行政書士登録申請前に事務所を確保する必要があったことも影響し、行政書士登録は平成31年1月15日となりました。改めて事務所を借りた上、照明・空調設備の整備、机・キャビネット等備品の整備、各種図書の整備等を要したため、当初想定した以上の費用がかかってしまいました。
さて、皆様も行政書士がどういう仕事をするかは、ご経験はなくても大体はご存知のことと思います。行政書士の仕事は、多種多様で幅が広く、おもしろいという表現が適切かどうか分かりませんが、飽きない仕事だと思います。
開業当初、「先生は何をやるんですか」との質問を受けることが多かったように思います。私は当初その意味が分からなかったのですが、行政書士の仕事は、幅が広く法改正や制度改正に注意を払う必要があることなどから、建設業専門にやるとか入管業務専門にやるなど、次第に専門化していく人が多いようです。
さて、これら幅広い仕事についての研鑽の機会ですが、広島県行政書士会では、主な業務ごとに協議会があり、定期的に研修が実施されています。
私は、既に退会したものも含めると、国際業務協議会、成年後見・民事信託協議会、建設業協議会、相続実務協議会に加入しています(又は、いました)。
各協議会とも年会費がありますし、研修も広島市内で開催されることが多いので、多くの協議会に加入し、その全ての研修を受けることは、時間的にも経済的にも負担になりますから、ある程度方向性を決めていかざるを得ません。
以下において、私の所属した協議会や近況などについて少しお話したいと思います。時間のある方はお付き合い下さい。
第2 国際業務協議会
行政書士は、中・長期在留外国人に代わって、地方出入国在留管理局(以下「入管」と称します)に我が国での在留に関する申請手続、いわゆる申請取次業務を行うことができます。しかし、そのためには、所定の研修を受け、研修の効果測定を受け、その結果所定の効果が認められて、管轄の入管局長名でピンク色の「届出済証明書」(通称ピンクカード。身分証明書のようなもの)を交付してもらう必要があります。
これは、外国人の在留資格の取得や変更など、入管への申請手続を取り次ぐことのできる資格証になります。申請取次行政書士として入管に書類を提出するときは必ずこのカードを見せなければなりません。
私もピンクカードを持っていますが、ピンクカードの交付を受ければ、その日から先輩方と同じように実務ができるわけではありません。それで、国際業務協議会に入会し、入管制度や入管への申請手続についてのノウハウなどを教えていただいたり、交友関係を広げたりして研鑽を積みます。
私は、これまで、在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請など、一通りの入管申請手続を経験することができました。
登録支援機関(TSF)の設立
技能実習制度の見直しが検討されていることはご存知のとおりですが、その流れの中で、特定技能制度が新設され、平成31年4月に施行されました。在留資格「特定技能」は1号と2号があります(介護は1号のみ)が、最初に取得するのが特定技能1号です。1号特定技能外国人は、所属機関(雇用主)又は登録支援機関の支援が必要です。支援をする担当者や責任者になるには、所定の期間就労外国人の受入れ・管理実績や相談業務従事実績などを有することが必要とされています。
行政書士登録(開業)後早々に受けた研修が国際業務の研修であったこともあり、この研修を受講していた某行政書士から国際業務を勧められました。私も、たった今受けた研修で国際業務は十分に需要があると聞いたこともあって、勧められるままに国際業務をやってみることにしました。それで、大阪まで行って申請取次の研修を受け、申請取次行政書士の資格を取りました。その後、同じ行政書士の誘いもあり、申請取次行政書士有志で、1号特定技能外国人を支援する登録支援機関を設立することになり、令和元年5月に「一般社団法人特定技能サポートセンター福山」(略称「TSF」)を設立しました。
そして、数年を経て、私も支援担当者、支援責任者になることができ、3つの特定産業分野の業務に従事する3か国の1号特定技能外国人の支援を受け持っています。
なお、TSFが支援する外国人及び企業の数は少しずつですが増えており、現在4つの特定産業分野の業務に従事する4か国の1号特定技能外国人を支援しています。
第3 建設業協議会
建設業者が一定程度以上の規模の建設業を請け負うには、都道府県知事又は国土交通大臣の許可を得る必要があります。許可を得た建設業者は、毎決算期後所定の期間内に定期の届出(決算変更届)が必要ですし、5年ごとに更新も必要です。
行政書士は、こういった許可申請手続や定期届出手続などを業務として行いますが、建設業の種類や、建設業の許可に必要な資格を有する者が会社にいるかどうかなどによって、許可申請に必要な書類が異なってきます。
したがって、建設業についても、行政書士登録をすれば直ちに実務ができるわけではなく、協議会に入会し、研修を受講するなどして研鑽を積んだり、人間関係を広げたりします。
私も、これまで、複数の会社から許可申請、更新申請、定期届などの依頼を受けています。
第4 成年後見・民事信託協議会
行政書士も、任意後見契約の作成支援や、民事信託(家族信託)契約の組成支援などを行っていますが、成年後見人を引き受ける人もいます。
この協議会では、任意後見契約を含む成年後見制度や民事信託契約などについて、会員のほか、学者、公証人、民事信託に詳しい他の専門士業などに講師をお願いするなどして研修を実施しています。私も何度か講師を引き受けたことがあります。
成年後見制度に取り組む行政書士の団体として、公益社団法人コスモス成年後見サポートセンターがあります。日本行政書士会連合会により設立された法人で、高齢者、障がい者の財産管理、身上保護を行ってサポートしています。
コスモス成年後見サポートセンターに入会するためには、入会前に、数日間にわたり専門研修を受け、効果測定を受けます。効果測定で所定の効果が認められれば、入会前研修の修了証を交付してくれます。そして成年後見人を受任する人は、通常コスモス成年後見サポートセンターに入会します。任意後見契約書もコスモス成年後見サポートセンターの文案があるようです。
私は、成年後見人の業務を知りたいと思い、入会前研修を受け、修了証をいただきましたが、実際に成年後見人をお受けするのには、少々年齢を重ねすぎていると思い、コスモス成年後見サポートセンターには入会していません。
第5 相続実務協議会
相続手続未了のため登記簿上現在の所有者が分からないという所有者不明土地の増加により、災害復旧工事や防災工事に支障を来していることなどから、相続法改正のほか、自筆証書遺言の法務局保管制度、相続登記の義務化、相続土地の国庫帰属制度等々、新たな制度が矢継ぎ早に導入されてきたところですが、相続実務協議会では、遺言や遺産分割だけでなく、こういった新たな制度についても研修を行っています。
私は、当初この協議会には加入していなかったのですが、お誘いを受けて加入し、更には代表を頼まれ、現在代表二期目になります。相続実務協議会に加入後日も浅いことから、いまだに役員の皆さまに助けていただいています。
当然ですが、私も講師となり、改正相続法、相続・遺言制度、相談の受け方等々、いろいろな資料を漁りながら公証人とは異なる立場も含めて研修資料を作成しています。
研修資料作成の際は、原典を確認するために図書館に行ったり、図書を購入したり、発行元に確認したりします。定期刊行物は発行元に確認しても入手できないことがあるため、最終手段として公証役場や法務局支局にお願いして確認することもあります。
研修資料の作成を通して勉強することも多く、研修講師をお受けする一番の成果は私自身の研鑽にあるように思います。
士業に身を置き、いくつかの公証人にお会いした経験や、講師たる私の説明に対する受講者の反応などから、同じ公正証書を作成する場合でも公証人によって違いがあることを知ることもあります。その違いは当然理由があってのことと思いますので、私だけの経験で説明しないよう配慮し、固定的な説明は避け、幅のある説明をしなければならないと思っています。
つなぐテラスひろしま(TTH)の設立
相続の相談を受けていて思うことは、老後や病気・認知症などに備えて、しかるべき準備をしていなかったために、相続手続などで大変な思いをする人が一定数存在するということです。
例えば、親や兄弟が亡くなったという方からの相続の相談では、共同相続人の中に、認知症の人がいたりします。
被相続人が遺言をしていれば相続手続ができたのに、遺言がないために遺産分割協議が必要になったり、遺産分割協議のために成年後見人の選任が必要になったりします。しかし、今の制度では、成年後見人は一度選任されると、認知症が改善するか本人が死亡するまで外れず、後見人の報酬も発生し続けます。資産のある人にとっては大きな問題ではないかも知れませんが、資産のない人や、資産があっても、その資産を頼りに暮らしている家族がいる場合は、結構大きな問題だろうと思います。
このようなことから、少しでも多くの人に「老後に備えてどんなことをしておけばよいか」、「何らかの準備をしておかなければならない状況にあるのではないか」、といったことを知っていただきたいと常々思っていました。
しかし、福山市民としての経験も、行政書士としての経験も浅い者の頑張りには限界があります。それで、趣旨に賛同してくれる行政書士数名と令和4年に「一般社団法人つなぐテラスひろしま」(略称「TTH」)を立ち上げることになったのです。
TTHは、こういった老後の備えについての周知活動とともに、遺言書作成支援、遺言執行、任意後見契約等の作成支援、任意後見人の受任などを通して地域の社会福祉の向上に資することを主な目的としています。
岡山には、同趣旨で設立された「一般社団法人晴ればれ岡山サポートテラス」(以下「サポートテラス」という)がありますが、サポートテラス様との交流会を通しての研鑽も積んでいます。
現在、手弁当で広報活動をしています。皆が個人事業主としての行政書士業務を行いながらの活動ということもあって、思うような成果は上がっていませんが、引き続き周知活動、支援活動に尽力して参りたいと思っています。
第6 終わりに
自筆証書遺言の法務局保管制度が始まって4年になります。
私は、行政書士として遺言の相談を受けたとき、公正証書にするか自筆証書にするか、自筆証書の場合は法務局保管制度を利用するか等について、そのメリット・デメリットを説明するなどして、相談者に検討していただきます。
自筆証書遺言や法務局保管制度は、私の認識に誤りがなければ、積極的には勧めにくいと思っています。もう少し使い勝手がよくなれば、利用者は増えるのではないかと思っています。
もちろん、公正証書遺言に勝るものはありませんので、相談者には、そのメリットをキチンと説明しています。
福山は、ばらのまち福山としても有名です。歴史的な経緯は省きますが、100万本のバラを目標にバラの植栽を進めてきたところ2016年に100万本が達成されたとのことです。
バラの季節になると、駅前だけでなく、バラ公園、緑町公園など随所にバラが咲き誇り、写真を撮る人も多く見かけます。
その「ばらのまち福山」で、老後の備えの周知活動や外国人の在留支援など、少しでも地域のお役に立てるよう、もうしばらく頑張ってみようかなと、いまも定時出勤しています。
(行政書士由良事務所代表 元広島・福山公証役場公証人 由良卓郎)
早いもので就任して5年が経過しました。覚えることが多く、事務処理に右往左往しながらの毎日だったせいか、法務局時代の5年よりも時の経過が早かったように感じます。さて、生来、これといった趣味もなく、身を助けるような特技も芸もありませんので、思いつくまま、以下のとおり、近況を報告します。
1 はじめに
当役場はJR鳥取駅から徒歩2分の雑居ビルの5階にあります。鳥取駅は県庁所在地の駅なのに自動改札機のない駅で、毎朝、改札にいる駅員の朝の挨拶を受けて出勤しています。役場事務室からは駅ホームの全容を見下ろすことができ、また、鳥取平野を一望する久松山(263㍍)とその麓にある鳥取城趾を遠望できます。当役場の利用者の多くは鳥取市と近隣の4町(1市4町の住民人口は約22万人)の方です。「鳥取」という地名は、かつて、水鳥を捕らえて朝廷に献上する「鳥取部(ととりべ)」が置かれていたことに由来するといわれています。
法務局退職を機に郷里に戻り、40年前に自ら住む予定で建築した自宅から約1時間をかけて通勤しています。毎日定刻に起床し、お袋(93歳)の弁当を手に持って、野鳥の囀りが聞える無人駅からワンマンカーに乗り、帰りは漁り火を眺めながら帰宅し、ほぼ定刻に就寝、という規則正しい日々を送っています。台風や強風、大雨、大雪による警報が発令されるときはJR運休に備えて役場近くのホテルに宿泊(年間十数回)しています。
2 取扱い事件「雑感」
就任後5年が経過するものの、未だに、付箋やインデックスの付いた文例集を机に広げて、アンダーラインや判読に苦労するメモ書を見ながら嘱託事件に向き合っています。
当役場の取扱い事件数は都市部の役場とは比べようもありませんが、それなりに頭を悩ます事案も舞い込んできます。対処方針が決まらない事案については、本誌の索引を紐解き「実務の広場」から多くの示唆を得ており、ありがたいことだと感謝しています。
取り扱う事件の種類は、遺言、離婚、債務承認弁済、任意後見、保証意思、その他の事件と続きます。文字盤を使用して作成したALS罹患者の死因贈与契約、医師立会いの下で作成した統合失調症罹患者の遺言や遺言者死亡で作成できなかった残念な事案も経験しました。事件の進行管理表から、記憶に残っている事案を拾ってみました(呟きなので文体はご容赦ください。)。
涙してしまった
「・・ちょっとスイマセン」と言って相談室を出て、ハンカチで目元を拭って深呼吸し、再び相談室に戻った。証人二人(法務局出身の先輩OB)が心配そうに私を見ている。事前に何度か通読したボリュームのある付言を読み上げている途中で、亡親父が私に語りかけているような錯覚に陥り、瞼に涙が溢れ活字が読めなくなってしまった。
(1)見直しを待っています
「この内容でホントにいいのですか」と、付言の内容を遺言者に再確認した。先の遺言を撤回して改めて遺言する動機を、同居する長男の嫁の行状のせいにする内容の付言であり、再考を求めたが修文の返事はなかった。帯同している娘(新遺言で相続財産が大幅増)の意向を多分に反映したものと推察したが、原案のまま作成した。遺言見直しの再訪を待っている。
(2)受け取ってしまった
「息子が喜んでくれました。これはお礼です」と、左手に杖を、右手に小さな菓子折を持ったおばあさん(80歳半ば)がカウンター越しに立っている。過日、先祖代々の田畑を守っている長男に財産全てを相続させる遺言を作成した女性である。山間部にある自宅から交通機関を利用して役場まで約1時間、駅前にある和菓子屋の菓子を持参したとのこと。「お礼」はいつも丁重にお断りしているが、このときばかりはお断りすることをためらい有り難くいただくことにした。杖をついて歩くおばあさんをエレベータホールまで先導し、「お気を付けて」と、見送った。
(3)兄弟喧嘩に遭遇した
「喧嘩は外でして」と、思わず声を出してしまった。独身の叔母が帯同した亡兄の子である甥(兄弟)に相続させる財産の配分方法を話している途中で、亡父の遺産で裁判沙汰になっている兄弟がお互い相手を指弾して罵り出したところで発した一言である。遺産争いは、手にした遺産の多寡ではなく、これまでの(親子)兄弟の感情のもつれに端を発していると、聞いてはいたが、生の「争族」事案に接し、遺言の必要性を実感した。
(4)他人ごとではない「おひとりさま」
「人は一人では死ねないですよ」と、高齢の相談者からため息まじりの声。任意後見制度、死後事務委任契約について相談者に説明しているところで、相談者が「身寄りがなく、年金暮らしで蓄えのない者はどうすればいいの」と、言った後の一言である。役場を利用する行政書士から「任意後見制度はお金持ちの制度ですよ」と、言われたこともある。頼れる人がいて前記契約の締結に至る事案はよいが、そうでない相談の方が多いような気がする。独身の私はどのような最期を迎えるのであろうか、他人ごとではない。
(5)遺言合戦ですか
「遺言を書き直します」と、弱々しい声で意思表示したのは90歳を超える資産家のおばあさん。持参した公正証書をみると、介護等面倒を看てくれる子どものところを転居する度に新たな遺言を作成している。子どもたちが抱える事情はいろいろあるにせよ、年老いた母親をたらい回ししているようで、なんともやるせない気持ちになった。
(6)いらぬ一言でした
「ホントに離婚するの」と、思わず若い夫婦に尋ねてしまった。土曜日には予約制で相談や証書作成の嘱託に応じている。この日も土曜日で、書記のいない事務室内を幼い二人の娘が走り回り、父親は乳飲み子を腕に抱きあやしている。相談時にも夫婦で訪れ、仲良く談笑していた。面会交流の内容も詳細に定めてある。離婚原因等何の事情も知らない他人がいらぬことを言ってしまった、と反省した。
(7)今思えば気恥ずかしい
婚約解消による慰謝料支払契約証書を作成した30歳代の女性から、お世話になりました、とのお礼のメールをいただいた。相談から始まり何度かメールのやり取りを経て内容を固め契約に至った事案である。お礼のメールに対し、「まだお若い 第2章の始まりです 新しいページにたのしい人生を書き込んでください」と、返信した。今思えば、気恥ずかしい。
以上、記憶に残る事案のいくつかを記してみました。これまでに経験した事案・処理した事件から学んだノウハウ、反省点、改善点、見直し点を今後にいかしていくことに加えて、相談者や嘱託人の思いに寄り添いつつ、適切な公証事務の遂行に努めたいと考えています。
3 おわりに
一人役場なので遅刻することも許されず休暇を取得することもかないませんが、嘱託人から報酬をいただきながら、「ありがとう」と、お礼を言っていただける仕事に携わっていることの責任の重さを再認識し、健康に気遣いながら任期を全うしたいと思う今日この頃です。
(鳥取・鳥取合同役場公証人 山本芳郎)
今日この頃(小田切敏夫) |
公証人に任命されてから8年余りが過ぎました。薫風漂う中、今年の秋には新たな生活を始めている自分を想像し、心ときめかせながらも、退任を迎えるときまでの事務処理を適正に行えるよう気を引き締め直しているところです。
そのようなときに本だよりへの原稿依頼を受けましたので、この8年余りの出来事からいくつか私見を含め少しお話しさせていただきます。
1 新型コロナウイルス感染症対策について
令和2年1月の終わり頃から、新型コロナウイルス感染症の拡大が始まりました。一人公証役場(公証人及び書記が各一人)としては、万が一でも感染すると、公証役場を閉鎖し、業務を一時中断しなければならなくなります。このことにより遺言作成を希望する嘱託人の依頼に公証役場側の事情により応えられなくなります。これまで嘱託人側の事情により、遺言作成を延期し、その間に嘱託人である遺言者がお亡くなりになるという実例を複数回経験していたことから、公証役場を一時閉鎖するという事態は絶対避けなければならないと思いました。
感染が全国的に拡大する中、日本公証人連合会から、①基本方針、②感染防止の具体策、③感染が判明した時の対応策等が示され、その後、感染防止対策ガイドラインが示されました。当役場では、示されたガイドライン等を参考に①手洗い・うがいの励行、②アルコール消毒液の設置、③マスクの着用、④アクリル板の設置、⑤共用するテーブル・椅子等の消毒、 ⑥都道府県をまたぐ移動の自粛等を実施し、今日に至るまで危惧する事態はどうにか回避できましたが、新型コロナウイルスの感染法上の位置づけが5類感染症に移行された後も、7か月間に全国で約1万6、000人が亡くなっているという新聞報道に接しました。5類への移行に伴い、先のガイドラインは廃止されていますが、引き続き感染症対策に配慮する日々が続きそうです。
一人公証役場では、ほとんどの役場で業務継続を最優先し、自身及び書記の健康に留意するとともに、年休がありませんので親族の冠婚葬祭の際にも日程調整を行っていると承知しています。この点につき、今後予定されている公証業務のデジタル化により、役場間の連携を図り、将来的には業務継続にも繋がる事務処理体制が構築されることを願っています。
2 公証業務のデジタル化について
政府の「デジタルによる質の高い公共サービスの提供」という方針の下、公証業務は今までにないスピード感で電子化・デジタル化が進んでいます。令和5年6月には、公証人法が一部改正され、公正証書の「原本」は今までのように紙で作成されたものではなく電磁的記録で作成されたものに替わることになりました。また、嘱託人と公証人との面談もウエブ会議の方法によることが可能とされました。具体的な事務の運用については、今後の省令の制定を待つことになりますが、日本公証人連合会では、関係機関・団体と令和7年9月末までに全国の公証役場で実施可能な状態とするために電子公正証書システム(電子公正証書作成システム及び電子公正証書の保存管理システムの総称)の全体構成とセキュリティについて検討を進めています。私が公証人に任命された平成27年頃は、公証業務に係る「電子化」は、電子私署証書の認証、電子定款の認証、電子確定日付の付与、電子版遺言登録システムによる遺言公正証書の二重保存くらいだったのではないかと記憶しています。当時はまだ全ての公証役場が電磁的処理を行う「指定公証人」に指定されていた訳ではなく(その後、平成30年9月3日から全ての公証役場で電磁的記録に関する事務を取り扱うことになりました。)、公証業務に関する嘱託人又は公証人連合会との連絡は、ファクシミリ及び電話が多かったと記憶しています。現在、嘱託人との連絡は一般のインターネットを通じて行うことが多くなりました。また、公証人連合会からの有益な各種情報の入手や各種帳票等の報告は専用のWebグループウェアで行うことになっています。さらに電子確定日付の付与に関しては、電子確定日付センターが設置(令和2年8月3日)され、遺言公正証書の二重保存に伴う遺言検索を各公証役場で行う(令和5年1月)ことになりました。中でも電子定款の認証ついては、制度の変更が多岐にわたり行われ「実質的支配者となるべき者の申告制度(平成30年11月30日)」、「テレビ電話等による認証手続(平成31年3月29日)」、「定款認証と設立登記の同時申請制度・スーパー・ファストトラック・オプション制度(令和3年2月15日)」、「定款認証手数料の改定(令和4年4月1日)」、「手数料のクレジットカード決済(リンク決済)の導入(令和4年4月1日)」、「定款認証の48時間以内処理(令和6年1月10日東京・福岡で試行的実施)」、「面前確認におけるウエブ会議(テレビ電話)の原則化(令和6年3月1日)」等が実施されています。当然のことですが、これらの変更にあたっては、システムの改修や操作方法の習得が必要になります。昭和の半ば世代としては、これらシステムの改修や操作方法の習得に苦労した思いがありますが、今後はデジタル機器の操作習得が益々重要になってくるものと考えています。
今後予定されている公証業務のデジタル化により、嘱託人との面談もウエブ会議の方法によることが可能とされていますので、嘱託人の本人確認や嘱託人の真意等の確認をどのように行っていくか悩ましいところです。公証制度は、私的法律生活の安定と私的紛争の予防を図るものといわれています。本人確認や嘱託人の真意等の確認方法等について、これまでの経験と制度改正後の経験を公証人間で十分共有することが求められるものと考えます。各種困難を乗り越え、各役場でデジタル化による業務の効率化を図り、公証制度が安定的に発展していくことを願っています。
(新潟・三条公証役場公証人 小田切敏夫)
近隣公証役場連名での広報活動(山岡徳光) |
1 はじめに
年の瀬も押し迫った令和5年12月某日、隣の新宮公証役場公証人三橋先生から、紀伊民報(本社が田辺市で、主に田辺市を中心として和歌山県南部へ地域情報を発信している地方新聞)に、ゴールデンウィークを中心に「遺言」を題材とした連載記事を掲載してもらえそうであり、田辺公証役場と連名での広報に協力してもらいたいとの連絡を受けました。
三橋先生は、地元新聞紙・広報誌への掲載、講演会・相談会などの地域に対する広報活動を積極的に行い、本年5月の第75回日本公証人連合会定時総会において、令和5年度の広報活動が特に優秀と認められ、会長表彰を受けるほどの成果を挙げられているところ、紀伊民報は、新宮公証役場の最寄りの地域である串本町への地域情報の発信も行っていることから、三橋先生は、早くから当職と連携して紀伊民報への連載を意図し、紀伊民報本社へ連載の企画を持ち込んだりしていたところ、三橋先生が串本町での講演会を実施するに当たり、紀伊民報の串本支局に取材依頼を行い、その記者との懇談の中で、公証事務は公的事務であり、紙面に空きがあれば話題は掲載できること、記者から本社に連絡して掲載を可能とするよう働きかけるとのことで、とんとん拍子に広報活動が実現しました。
三橋先生が広く広報活動を行っていたことから、持ち込み企画が早々に実現したものであり、広報活動を拡大するためには、多方面にわたる積極的な行動が必要であることを感じました。
2 記事掲載までの対応について
掲載が決定してからは、三橋先生が今までに使用した文案をベースとして、それに当職の意見を盛り込んだ原稿案をQ&A方式で7回分作成しました。
内容は、①公証人の仕事内容、②遺言が必要な理由、③遺言での相続争いの未然防止、④財産が少ないときや身体が元気な場合の遺言書作成と遺言の変更が可能なこと、⑤遺言の種類、⑥遺言書作成時の意思表示の必要性、⑦作成費用で、できる限り一般の人に分かりやすい文言を使用した原稿にして、新宮公証役場と田辺公証役場の連絡先等を連記しています。
原稿は、三橋先生が既に作成していた文案を使用したこともあり、当職はあまり悩まずに原稿案を作成することができました。
そして、令和6年4月17日号を初回として、同年5月22日号まで、計7回の掲載をしていただきました。
また、本年5月11日(土)には、三橋先生は串本町文化センターで、当職は田辺公証役場で休日相談を実施することとしました。相談会場は紀伊民報の読者エリアを考慮して決定したものです。
3 記事掲載後の反応及び今後の予定について
読者の皆様からは、新聞記事を読んだことを契機とした相談が田辺公証役場に10件程度ありました。その内容は、今後遺言をするための参考としてのものが多かったですが、具体的に作成までに至った案件も数件あり、広報活動の効果はあったものと考えています。
休日相談に関しては、三橋先生が4組の相談を受け、当職は、休日相談の予約対応をする中で(田辺公証役場の業務状況から)平日の方がゆっくり相談できる旨を話したところ、全員が平日相談になり、休日相談はありませんでした。
さらに、今回の掲載が終了したため、お盆時期、公証週間、年末年始の掲載希望を紀伊民報の串本支局の記者に伝えたところ、直接、本社の担当者と面談する機会を設けていただき、本年5月末に、三橋先生と当職でお礼を兼ねて本社を訪ね、打合せを行いました。その席上で、「今回の記事では「作成費用」が一般読者には参考になった。」、「今後、ランダムではあるが記事に空きスペースが出たときは掲載を前向きに検討する。」との回答をいただき、本年7月以降の掲載もほぼ確実になり、広報活動の継続が可能となりました。
4 終わりに
今回は、隣接役場との連名での広報活動を紹介しました。
一人での広報活動には限界があると思いますが、複数で協力して、各人の経験やノウハウを出し合えば一人一人の労力を少なくして広報活動の幅が広がると感じました。
また、余談ではありますが、田辺公証役場の独自の広報活動として、田辺市回覧板や田辺市市民便利帳の広告欄に、日本公証人連合会のマスコットキャラクター「ミネルヴァくん」を本部の了解を得た上で使用した広告を掲載して広報活動を行っています。
回覧板や市民便利帳は長年に渡り使用するものであることから、地道な公証制度の周知・浸透を期待しています。
また、公証週間に向けて郵便局の待合スペースを活用したポスター掲示やパンフレットの設置をする広告も予定しています。
(和歌山・田辺公証役場公証人 山岡徳光)
実務の広場
このページは、公証人等に参考になると思われる事例を紹介するものであり、意見にわたる個所は筆者の個人的見解です。
No.102 離婚給付等契約公正証書における養育費の支払期間の終期等の記載について(多田 衛) |
離婚給付等契約公正証書は、作成嘱託を受ける公正証書のうち、遺言公正証書に次いで事件数の多い公正証書であり、ほぼ全ての離婚給付等契約公正証書に養育費についての合意の記載をすることになります。その際、養育費の支払いに関する当事者間の合意内容を尊重しつつ、その認識の不一致を防ぐことと、将来、養育費の不払いが生じたときの強制執行に支障がないよう注意して起案しています。
日々の実務においは、日本公証人連合会発行の「証書の作成と文例」を参照しながら公正証書を起案していますが、養育費に関する条文については、証書の作成と文例の文例1の2において「第2条(養育費)甲は、乙に対し、丙及び丁の養育費として、離婚届出の前後を問わず、平成○○年○○月から丙及び丁がそれぞれ満20歳に達する日の属する月まで、各人について1か月金3万円ずつを、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の預金口座に振り込んで支払う。振込手数料は、甲の負担とする。」との文例があります。また、養育費の支払期間に関し、「終期は、20歳に達する月までが多く、18歳に達する月までというのもある。さらに、22歳あるいは大学卒業時までとの合意がされることもある。」「なお、「大学卒業まで」との定め方では、大学浪人した場合、大学を中途退学した場合、入学後留年した場合などに、養育費の支払いについて疑義が出る危険があるので、証書作成の場合には、大学卒業予定である「22歳に達した日の属する月」あるいは「22歳に達した後の最初の3月」等の明確な終期を記載すべきである。そして、「その時点で在学中のときは、卒業(あるいは、学業終了等)まで養育費を支払う。」などの合意内容を付加することで対処する。」との解説がされています(証書の作成と文例の文例2の解説)。
ちなみに、支払終期について「大学卒業まで」というような定めをしたいとの相談があった場合は、当事者に対し、上記解説のような疑義が生じるだけでなく、手続面においても、大学入学以降に強制執行をしようとするときに、大学入学という事実を証する書面を提出して事実到来執行文の付与を受け、改めて送達をしなければならなくなることなども説明した上で、適切な支払終期の定めをするよう努める必要があるものと思われます。例えば、「満18歳に達した後の最初の3月まで養育費を支払う。ただし、大学等に進学した場合は大学等を卒業する日の属する月まで養育費を支払う」という2段階の終期の定めをすることにより、明確な終期が記載されている満18歳に達した後の最初の3月までは単純執行文により強制執行をすることができ、大学等入学以降に強制執行をするときは、事実到来執行文により強制執行をすることになるということが、当事者にとっても分かりやすくなるものと思われます。
基本的には、前記の文例に準拠して公正証書を作成していますが、嘱託人からの要望を踏まえて、様々な書きぶりをしてきましたので、実際に私が作成した公正証書の養育費の終期の書きぶりをご紹介し、会員の皆様のご参考に供したいと思います。
おって、胎児及び認知された子の養育費の支払に関する公正証書については、公正証書を作成するタイミング(①夫婦間の胎児が出生する前に離婚公正証書を作成するケース、②非嫡出子として出生した後に認知し、その後に養育費公正証書を作成するケース、③胎児認知をした後、出生前に養育費公正証書を作成するケース、④胎児認知をした後に出生し、その後に養育費公正証書を作成するケース)によって、書きぶりを変えていますので、併せてご紹介することとします。
(名古屋・春日井公証役場公証人 多田 衛)
【養育費の終期の定めの類型】・【胎児及び認知された子の養育費の定めの類型】
第1 子の年齢で特定したもの
① 18歳まで
② 18歳3月まで
③ 20歳まで
④ 22歳3月まで
⑤ 15歳まで及び22歳3月まで(変額)
第2 具体的な年月で特定したもの
① 年月を特定
② 年月を特定し変額
③ 成年と未成年の場合
第3 終期を短縮する旨のただし書きをしたもの
① 22歳3月まで(大学進学しなかった場合短縮)
② 22歳3月まで(22歳3月より前に卒業した場合短縮)
第4 胎児の養育費を定めたもの
出生前に離婚するケース
第5 認知した子の養育費を定めたもの
① 出生→認知→公正証書のケース
胎児認知→公正証書→出生(予定)のケース
胎児認知→出生→公正証書のケース
第1 子の年齢で特定したもの
例1-①
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙が満18歳に達する日の属する月まで、1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
例1-②
第○条 甲は、乙に対し、丙、丁及び戊の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙、丁及び戊がそれぞれ満18歳に達した後の最初の3月まで、各人について1か月金○円ずつを、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
例1-②参考 (※3月中に満年齢に達する場合)
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙が満18歳に達する3月まで、1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
例1-③
第○条 甲は、乙に対し、丙、丁及び戊の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙、丁及び戊がそれぞれ満20歳に達する日の属する月まで、各人について1か月金○円ずつを、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込む方法により支払う。
例1-④
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙が満22歳に達した後の最初の3月まで、1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
例1-⑤
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙が満15歳に達する日の属する月までは1か月金○円を、また、満15歳に達する日の属する月の翌月から丙が満22歳に達した後の最初の3月までは1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
第2 具体的な年月で特定したもの
例2-①
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から令和○○年○月まで、毎月末日限り、金○円を乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。振込手数料は、甲の負担とする。
例2-②
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から令和○○年3月までは1か月金○円、令和○○年4月から丙が満20歳に達する日の属する月(令和○○年○月)までは1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。振込手数料は、甲の負担とする。
例2-③ (1人は成年)
第2条 甲は、乙に対し、離婚届出の前後を問わず、長女 ○○(※成年に達している子、以下「丙」という。)の養育費として、令和6年○月から令和○年○月まで、1か月金○円、丁(※未成年の子)の養育費として、令和6年○月から令和○○年○月まで、1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
第3 終期を短縮する旨のただし書きをしたもの
例3-①
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙が満22歳に達した後の最初の3月まで(ただし、丙が高校を卒業後、大学、短期大学、専門学校等の高等教育機関(以下「大学等」という。)に進学しなかった場合は、高校を卒業する日の属する月まで。)、1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
例3-②
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、令和6年○月から丙が満22歳に達した後の最初の3月まで(ただし、丙が、満22歳に達した後の最初の3月より前に大学等を卒業した場合は、大学等を卒業した日の属する月まで。)、1か月金○円を、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込んで支払う。
第4 胎児の養育費を定めたもの
例4-① (出生前に離婚するケース)
第○条 夫 甲と 妻 乙は、本日、協議離婚すること及びその届出は乙において速やかに行うことを合意した。
2 甲と乙は、甲と乙間の子である乙の胎児(令和○年○月○日出産予定、以下「丙」という。)について、乙が親権者となり監護養育することを確認した。
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、離婚届出の前後を問わず、丙が出生した日の属する月から丙が満20歳に達する日の属する月まで、1か月金○円の支払義務があることを認め、これを毎月末日限り、乙の指定する口座に振り込んで支払う。
第5 認知した子の養育費を定めたもの
例5-① (出生→認知→公正証書のケース)
(認知の事実)
第○条 甲は、令和6年○月○日に、乙(本籍 愛知県春日井市○○番地、筆頭者 乙)の長男 ○○(令和5年○月○日生、以下「丙」という。)を認知した。
(養育費等についての合意)
第○条 甲と乙は、本日、丙の養育費等に関して次条以下のとおり契約を締結した。
(丙の養育費)
第○条 甲は乙に対し、丙の養育費として、令和6年○月から丙が満20歳に達する日の属する月まで、1か月金○円の支払義務があることを認め、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込み支払う。
例5-② (胎児認知→公正証書→出生(予定)のケース)
(養育費の合意)
第○条 甲と 乙は、本日、乙の胎内にある子(令和6年○月出産予定、以下「丙」という。)の出生後の養育費に関して次条以下のとおり契約を締結した。
(胎児認知の事実)
第○条 甲は、丙が甲・乙間の子であることを認め、乙の承諾を得て、令和6年○月○日に、乙の本籍地である愛知県○○市役所に胎児認知届を提出した。
(丙の養育費の支払)
第○条 甲と乙は、丙が出生した場合に、乙が丙を引き取り、監護養育することを確認した。
2 甲は、乙に対し、丙の養育費として、丙が出生した日の属する月(予定 令和6年○月)から丙が満20歳に達する日の属する月(予定 令和26年○月)まで1か月金○円の支払義務があることを認め、毎月末日限り乙が指定する金融機関の口座に振り込み支払う。
例5-③ (胎児認知→出生→公正証書のケース)
(認知の事実)
第○条 甲は、令和6年○月○日に、乙の長男 ○○(令和6年○月○日生、以下「丙」という。)を胎児認知した。
(養育費等についての合意)
第○条 甲と乙は、本日、丙の養育費等に関して次条以下のとおり契約を締結した。
(丙の養育費)
第○条 甲は、乙に対し、丙の養育費として、令和6年○月から丙が満18歳に達した後の最初の3月まで、1か月金○円の支払義務があることを認め、毎月末日限り、乙の指定する金融機関の口座に振り込み支払う。