令和元年度後期セミナー開催

会長挨拶

 会員の皆様には、師走のお忙しい中、当一般社団法人民事法情報研究会の後期セミナーにお集まりいただき、ありがとうございました。 本日のセミナーの講師には、特別会員の倉吉先生にお願いいたしました。倉吉先生には、現在、中央更生保護審査会委員長としてご活躍ですが、本日は法務省民事局時代の思い出など、皆様にも興味をもっていただけるお話しを伺うことが出来るものと思っております。 なお、現在、当法人の会員は200名を超えるに至っておりますが、6月と12月の研究会の会合の出席には、体調の不良や行事の重複等の理由で支障がある方も多く、おおむね3分の1の参加をいただいているのが現状です。特に東京から遠隔の地に居られる会員にとって参加の負担も大きいものと思われますので、会員の交流を補助する意味合いで、これまで、隔月お送りしている民事法情報研究会だよりを会員情報誌として充実させることとしてまいりました。会員の皆様には、この趣旨をご理解のうえ、引き続き奮ってご投稿いただきますようお願いしたいと思います。

令和元年12月14日民事法情報研究会セミナーのレジュメ

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定時会員総会以降の経緯

令和元年6月18日 東京法務局中野出張所において一般社団法人変更登記(役員の変更)

令和元年9月26日 通常理事会(10月26日)招集通知

令和元年10月26日 第2回通常理事会開催(セミナーの開催通知・配付資料、理事会出席旅費規程別表改正)

令和元年10月28日 後期セミナー(12月14日)開催通知

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定時会員総会及びセミナー開催

令和元年6月15日開催された定時会員総会、臨時理事会及びセミナーの結果は次のとおりです。

定時会員総会議事録

令和元年6月15日午後1時30分より、東京都千代田区大手町一丁目8番1号KDDI大手町ビル、東京駅大手町カンファレンスセンター(ホール22E)において一般社団法人民事法情報研究会の定時会員総会を開催した。 議決権のある当法人会員総数195名 総会員の議決権の数195個 出席正会員数(委任状による者116名を含む)187名 この議決権の総数187個 出席理事 野口 尚彦(議長兼議事録作成者) 同      樋口 忠美 同      小畑 和裕 同      佐々木 暁 同    星野 英敏 同    小口 哲男 同    篠原  睦 同    尾﨑 一雄 同    由良 卓郎 同    中垣 治夫 出席監事 坂巻  豊 同    藤原 勇喜 定刻に至り、司会進行役小口理事が以上のとおり総会員の議決権の過半数に相当する会員の出席があり、本会は適法に成立したので開会する旨を宣した。 会議に先立ち、4月9日に逝去された濱崎恭生元法務省民事局長のご冥福を祈って一同黙祷を捧げた。 野口会長より挨拶があり、次いで定款第15条により会長が議長となって審議に入った。

第1号議案 平成30年度事業報告、決算及び監査報告承認の件 議長は、当期(平成30年4月1日から平成31年3月31日まで)における事業状況を事業報告及び附属明細書により説明報告し、次の書類を提出して、その承認を求めたところ、満場異議なく、これを承認可決した。 1 貸借対照表 2 正味財産増減計算書 3 貸借対照表及び正味財産増減計算書の附属明細書 4 監査報告書

第2号議案 令和元年度事業計画・収支予算書承認の件 議長は、令和元年度事業計画・収支予算書について概要を説明し、出席会員から特段の質問は出なかった。 次いで、議長はその賛否を議場に諮ったところ、満場異議なく、これを承認した。

第3号議案 役員改選の件 議長は、本定時会員総会の終結の時をもって全役員の任期が満了するため、改選の必要がある旨を述べ、次のとおり理事11名及び監事2名を重任又は就任させてはどうか諮ったところ、満場異議なくこれに賛成したので、可決確定した。なお、選任された各理事は即時就任を承諾し、また、議長から各理事のうち現職公証人については法務大臣から兼職の許可を得ている旨報告された。 (住所省略) 理事             野口 尚彦 (重任) (住所省略) 理事             小畑 和裕 (重任) (住所省略) 理事             佐々木 暁 (重任) (住所省略) 理事             星野 英敏 (重任) (住所省略) 理事             小口 哲男 (重任) (住所省略) 理事             古門 由久 (就任) (住所省略) 理事(北海道・東北地区担当) 工藤  聡 (就任) (住所省略) 理事(東海・北陸地区担当)  多田  衛 (就任) (住所省略) 理事(近畿地区担当)     栁井 康夫 (就任) (住所省略) 理事(中国・四国地区担当)  檜垣 明美 (就任) (住所省略) 理事(九州地区担当)     中垣 治夫 (重任) (住所省略) 監事             坂巻  豊 (重任) (住所省略) 監事             藤原 勇喜 (重任)

その他質疑等 議長から、地区担当理事の一部が交代することに伴い、退任する理事に対する編集委員の委嘱を解除し、後任者に編集委員を委嘱すること及び新任者の任期は、編集委員会規則第4条の規定にかかわらず、前任者の任期(平成30年12月13日から2年)の残期間とすることの報告があり、また、質問箱委員の任期が本月17日をもって満了するので再任する予定であることの報告があった。 議長は、この際、ほかに質疑、意見等がないか発言を求めたところ、特段の発言はなかった。 以上をもって本会員総会における全議案の審議を終了したので、議長は午後2時閉会を宣した。

会長挨拶

皆様には、ご多用の中、民事法情報研究会の定時会員総会及びセミナーにご参集いただき、ありがとうございました。 当法人は第7期の事業年度を迎え、本日の定時会員総会では、前事業年度の決算及び新事業年度の事業計画の承認に加えて、全役員の任期満了に伴う改選が行われます。 現在、新たに全国で公証人に任命された法務局OBの大方の皆様に入会していただくようになっておりますので、今後とも、法人の活動が途切れることがないよう、継続的に運営を行っていくためには、本来的には役員も若い世代に順送りしていくのが望ましいところですが、現実的には、いろいろ難しい実情にあります。今回もそれを踏まえて、法人提案の役員改選案をお示ししたところですが、よろしくご審議をいただきたいと思います。 本日は会員総会に引き続いて、前最高裁判所長官の寺田逸郎先生の「法と裁判――平成をふりかえって」と題する講演がございます。

臨時理事会議事録

1 招集通知年月日    全理事及び監事の同意により省略 2 開催年月日及び時刻  令和元年6月15日(土) 14時~14時10分 3 開催場所  東京都千代田区大手町一丁目8番1号 KDDI大手町ビル 東京駅大手町カンファレンスセンター 4 出席理事名   野口尚彦、小畑和裕、佐々木 暁、星野英敏、小口哲男、古門由久、工藤 聡、多田 衛、栁井康夫、檜垣明美、中垣治夫 5 出席監事名   坂巻 豊、藤原勇喜 6 審議事項 第1号議案  会長(代表理事)、業務執行理事の選定及び副会長の指名について 第2号議案  理事会出席旅費規程別表の改正について 第3号議案  編集委員の変更及び質問箱委員の再任について 開 会(14時) 会長選定前のため、野口理事(前会長)が議長となり開会を宣し、理事総数11名全員及び監事2名全員が出席し、理事会規則第4条の招集手続を省略して本理事会を開催することを同意して、本理事会が適法に成立していることを確認した。 審 議 1 第1号議案 議長から、今般、理事の任期満了により会長(代表理事)及び業務執行理事の資格を喪失し、退任することになるが、本日会員総会において、理事及び監事の重任又は就任が決議されたので、本年4月13日開催の通常理事会で協議されたとおり、改めて次のとおり新たな会長(代表理事)及び業務執行理事を選定し、また副会長1名を指名することとしたい旨提案があり、全員異議なく、提案どおり決定。各人は即時就任を承諾した。 会長(代表理事)    野口 尚彦 (重任) 副会長・業務執行理事  小口 哲男 (重任、副会長は新任) 業務執行理事      小畑 和裕 (重任) 業務執行理事      佐々木 暁 (重任) 業務執行理事      星野 英敏 (重任) 業務執行理事      古門 由久 (新任) 2 第2号議案 会長から、本日会員総会において、理事及び監事の重任又は就任が決議されたので、本年4月13日開催の通常理事会で協議されたとおり、理事会出席旅費規程別表を改正したい旨提案があり、全員異議なく、提案どおり決定。 3 第3号議案 会長から、本年4月13日開催の通常理事会で協議された編集委員の変更及び質問箱委員の再任については、その協議結果どおり実施することを了承した。 (閉会14時10分)

令和元年6月15日民事法情報研究会セミナー・講演レジュメ

      法と裁判 ―― 平成をふりかえって 1 平成のはじまりと世紀末 2 法の世界の「救いの手」 3 戦後復興から高度成長期に起きたこと,起きなかったこと 4 平成は「失われた時代」だったか ⑴ 平成の「場」を決めたのは ⑵ 行政は「ファミリー」からの脱却を図りつつある ⑶ 「家族」や「組織」の中にスクラムで ⑷ 個人を「一人前」にする手立て ⑸ 刑事手続は「別世界」でなくなったか 5 令和の向こうに広がる地平

《資料》 ◆93行政手続法(平5)5条~[審査・処分基準,資料閲覧・意見陳述,処分理由提示],◆05同法(平17改正)39条[パブリックコメント],◆14同法(平26改正)36条の3[処分等の求め] ■01法令適用事前確認手続〔閣議決定〕(平13)[ノーアクションレター,法令適合性確認+公表],04(平16改正), 07(平19改正),◆13産業競争力強化法(平25)9条[グレーゾーン解消] ◆04行政事件訴訟法(平16改正)3条6項,37条の2~[義務付けの訴え],3条7項,37条の4[差止めの訴え] ★12最判平24・4・20民集66・6・2583,★12最判平24・4・23民集66・6・2789,◆17地方自治法243条の2(平29改正)[地方公共団体の長等の責任の一部免除],★18最判平30・10・23裁判所時報1710・4(最高裁HP →裁判例情報→最高裁判所判例集(平29行ヒ185事件))[住民訴訟と請求権放棄議決]

◆47児童福祉法(昭22)26条,27条[児童・保護者の指導,訓戒],28条[施設入所],29条[立入り調査],33条[一時保護],◆00児童虐待の防止等に関する法律(平12)6条[一般人の通告義務],10条[警察の援助],◆17児童福祉法(平29改正)28条[保護者に対する措置の強化,家裁の関与],◇19児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案〔厚生労働省HP→所管の法令等→国会提出法案→第198回国会(常会)提出法律案[体罰禁止等] ◆05高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(平17) ◆01配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平13)10条[裁判所による保護命令],04同法(平16改正),07同法(平19),13同法(平25)10条[対象行為,保護対象者を拡大] ◆03民事執行法(平15改正)151条の2[養育費等についての給与等の継続的差押え],◆04同法(平16改正)167条の15~[養育費等についての間接強制](◆03同法(平15改正)173条[間接強制の利用可能性]), ◆11民法(平23改正)766条[離婚後の子との面会交流,監護費用の分担の定め],★13最判平25・3・28民集67・3・864[面会交流についての間接強制], ◆13国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(平25)134条[子の返還の強制執行],★18最判平30・3・15民集72・1・17[返還決定確定と人身保護請求],◆19民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律案1条(令1,民事執行法の一部改正)〔法務省HP→ 所管法令等→国会提出法案など→国会提出主要法律案・第198回国会(常会)〕[子の引渡しの強制執行等]

◆01個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律(平13),◆04労働審判法(平16),◆07労働契約法(平19) ◆19女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令1)3条(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(旧雇用対策法)の一部改正[企業にパワハラ等防止策義務づけ])〔厚生労働省HP→所管の法令等→国会提出法案→第198回国会(常会)提出法律案〕

◆00独占禁止法(平12改正)24条,25条[被害者による差止め,無過失損害賠償] ◆00金融商品販売法(平12)3条[説明義務],5条,6条[同違反による損害賠償,額の推定],★05最判平17・7・14民集59・6・1323[適合性原則(現金融商品取引法40条。当時は証取法54条1項)違反の契約と不法行為] ◆06消費者契約法12条(平18改正)[認定適格消費者団体による差止め],◆08特定商取引法(平20改正)58条の18~[同],◆13消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律(平25)3条~[損害賠償につき認定適格消費者団体による共通義務確認訴訟+対象債権確定手続]

◆03個人情報保護法(平15)28条,29条[本人の開示,訂正等,利用停止・消去請求権],◆15同法(平27)17条2項,23条2項[要配慮個人情報の不同意取得・第三者提供禁止], ★17最決平29・1・31民集71・1・63[対グーグル削除請求]

◆00ストーカー行為等の規制等に関する法律(平12)3条[つきまとい等の禁止],4条[警察からの警告],18条,19条[罰則],◆16同法(平28改正)5条[公安委からの禁止命令] ◆00刑事訴訟法(平12改正)292条の2[被害者意見陳述],◆00犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(平12)3条[閲覧謄写],4条(現19条)[刑事訴訟和解],◆04犯罪被害者基本法(平16),◆07犯罪被害者保護法(平19改正)23条1項[損害賠償命令申立],◆07刑事訴訟法(平19改正)316条の33~[被害者の手続参加],◆08犯罪被害者保護法(平20改正)11条~[被害者参加弁護士] ◆06組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(平18改正),◆06犯罪被害財産等による被害回復給付金の支給に関する法律(平18)[組織犯罪利得につき検察官による給付金配当],◆07犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(平19)[振込め詐欺等の利用口座資金を凍結,金融機関により分配]

◆03刑法(平16改正)12条,176条~,旧208条の2[懲役刑の上限,性犯罪・危険運転致死傷罪の法定刑引上げ],◆03刑事訴訟法(平16改正)[公訴時効の伸張],◆09同法(平22改正)[死刑対象事案公訴時効なし]◆13自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平25)2条,3条[正常運転困難状態など] ◆17刑法(平29改正)177条[強制性交罪の法定刑引上げと非親告罪化],△19 法務省「「性犯罪に係る事案の実態に即した対処を行うための施策の在り方」を検討するための調査研究について」〔法務省HP → 省議・審議会等→ 検討会等→ 性犯罪に関する施策検討に向けた実態調査WG〕 ◆04裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平16),★14最判平26・7・24刑集68・6・925[大阪幼児傷害致死(児童虐待)。求刑超え懲役15年を破棄],★15最決平27・2・3刑集69・1・99[松戸強姦致死。原審無期減刑を維持]

◆13行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平25)[マイナンバー],◆19戸籍法の一部を改正する法律(令1)〔法務省HP→ 所管法令等→国会提出法案など→国会提出主要法案第198回国会(常会)〕[マイナンバーによる同一性判定] △19自由民主党政務調査会「デジタル経済における公平・公正なルールづくりに向けて(第一次提言)」〔自由民主党HP→政策→最新ニュース〕[GAFA対策]

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令和元年度の活動

平成31年4月1日 通常理事会(4月13日)招集通知

平成31年4月1日 新宿都税事務所に平成31年度法人都民税均等割申告書を提出(電子申告)

平成31年4月2日 監事より監査報告書提出

平成31年4月13日 第1回通常理事会開催(30年度事業報告、決算及び監査報告の承認、元年度事業計画案及び収支予算案の審議、役員改選案・編集委員等の変更の審議、元年度定時会員総会及びセミナーの開催並びに総会等次第及び配付資料の審議、新規会員の入会承認、その他)

平成31年4月15日 定時会員総会(6月15日)招集及びセミナー開催通知

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平成30年度後期セミナー開催

会長挨拶

会員の皆様には、師走のお忙しい中、当一般社団法人民事法情報研究会の後期セミナーにお集まりいただき、ありがとうございました。 当法人の会員は、平成25年5月の発足当時の150名から徐々に増加して、現在は200名を超えるに至っております。増加してきたのは、新規に公証人に任命される方がほとんど入会していただいたことによるものですが、おかげさまで、法務局で働いたOBの全国的交流の機会を設けるという趣旨からからは一応の成果を上げているものと考えております。しかし、6月と12月の研究会の会合に出席していただくことには、体調の不良や行事の重複等の理由で支障がある方も多く、特に東京から遠隔の地に居られる会員にとってその度合いも大きいものと思われますので、昨年来、会員の交流を補助する意味合いで、隔月お送りしている民事法情報研究会だよりを会員情報誌として充実させることとしております。会員の皆様には、この趣旨をご理解のうえ、積極的なご投稿をよろしくお願いしたいと思います。 本日のセミナーの講師には、会員の加藤康榮先生にお願いいたしました。特別会員の房村先生、倉吉先生には、本日は他の予定と重なったため欠席されていますが、加藤先生と皆様によろしくお伝えしてくれとのことです。 お手元にお配りしたレジメの最後のページに加藤先生のプロフィールが載っていますが、加藤先生は長く刑事法の分野でご活躍され、本日の講演テーマも、「刑事司法の歩みと近時の司法改革関連法」ですが、日産自動車のゴーン元会長について目下話題になっている司法取引等、皆さんの興味をもっていただける内容が多いものと思っております。

平成30年12月8日民事法情報研究会セミナーのレジメ

概観―刑事司法の歩みと近時の司法改革関連法 はじめに 第1 刑事司法発展の歴史 1 近世以降の英米法系と大陸法系の刑事法制の比較 (1)英米法系の刑事法制 神判裁判を禁止し、起訴陪審による弾劾主義 アメリカ法―イギリスとは検察官制度などで異なる。 (2)大陸法系の刑事法制 神判(盟神深湯(くがたち)等)の廃止等を経て糺問(きゅうもん)主義→我が国では江戸時代の奉行制度もこの訴訟構造。 *フランス革命(1789年)を経て、1808年に刑事訴訟法典を発布。→我が国も明治以降これを継受 2 我が国の刑事法制発展の歴史 (1)律令による刑事法制 大宝律令(701年)、養老律令(757年)→「弾正台(だんじょうだい)」を経て、「検非違使庁(けびいしちょう)」が布かれるも、拷問は許容。 (2)江戸時代の刑事法制―独自の発展 「吟味筋」→幕府直轄地に寺社奉行・勘定奉行・町奉行の3奉行を置いて、各所管の訴訟を担当させていた。 *南町奉行-大岡越前守忠相(ただすけ)、北町奉行-遠山左衛門尉影元 (3)明治初頭期から治罪(ちざい)法へ至る刑事法制 〔明治維新〕(1868年)→四民平等化を図って中央集権化し、裁判権も統一して近代的な司法制度を布いた。 ・明治4年―司法省設置(裁判所・検事局・明法寮を管掌) ・明治5年―司法省職務定制で、検事公訴官制度とする。 ・明治8年―司法権独立の礎となる大審院を頂点とし、下 級裁判所として上等裁判所・府県裁判所を置く。 ・明治12年―太政官布告で、明文をもって拷問廃止。 ・明治13年―太政官布告で、治罪法を制定。 (4)明治中期以降―明治刑訴法から大正刑訴法へ ア 治罪法や明治刑訴法の制定・運用―フランス法系導入後、ドイツ法系の影響になる裁判所構成法等制定。 イ 戦前の刑事法制の特徴点 検事の権限―公訴権を行使する弾劾官(公訴官) 起訴法定主義の下でも起訴便宜主義が慣行化し、大浦事件を経て明文化されて定着し、現在に至る。 (5)戦後の予審制度廃止と改正現行刑訴法 ア 予審制度の改廃 ・ドイツ―1975年予審制度を廃止し書面審査だけで公判に付することを決める「中間手続」に改正。 フランス―1897年の大幅改正など紆余曲折を経ながらも、現在も予審制度自体は維持している。 ・我が国―予審制度は戦後旧刑訴法を現行刑訴法へ全面改正する過程で刑訴応急措置法により廃止。 イ 戦後の法改正過程でのGHQの関与 GHQ(連合国軍総司令部)から法務当局へのステートメント―東洋文明の後進性の観念を背景とする。 ウ 戦後の司法制度関連の組織改革 〇 検察庁と裁判所―戦前は、判事と検事が同じ司法官として司法省に属していたが、戦後これが分離され「裁判所」は最高裁判所を頂点としてその司法権の独立が名実ともに実現した。 〇 警察組織 エ 権限集中型の検察官―検察ファッシヨ批判 第2 歴史的主要事件 1 日糖事件 〔事件の概要〕 大日本製糖(株)の役員7名が、明治39年(1906)の原料輸入砂糖戻税法改正案、翌年の砂糖官営法成立のためにした、政友会等代議士21名への一大贈収賄事件。 〔事件の特徴〕 2 大逆(たいぎゃく)事件 〔事件の概要〕 明治43年(1910)5月発覚の天皇暗殺未遂の大逆事―数百名が逮捕されたが、結局26名が大逆罪で起訴され、一審が大審院終審の裁判により、被告人全員が有罪判決で、うち24名が死刑判決となった。 〔事件の特徴〕 3 帝人事件 〔事件の概要〕 台湾銀行の頭取ら役員が、日銀へ自行の債務担保として差し入れ中の担保流れの帝国人造絹糸(株)の22万株式を政官財界の有力者へ安く売却した一大背任・贈収賄事件。 〔事件の特徴〕 *箴言―宮沢俊義東大教授の随筆「検察官と世評」 本事件の判決が「空中楼閣事件」と断じて、全員無罪判決とした「判決文」について、「裁判官があまり痛快無比の言葉を使って、留飲を下げたり、世間に快哉をさけばせたりするのは、邪道である。そういう言葉は、法廷で相争う当事者たちに任せておくべきで、裁判官は、それにつりこまれず、どこまでも冷静に節度ある態度でものをいうべきである。・・裁判官として、判決を通じて発言する場合に、不当に大げさな形容語を使って相手をやっつけるのは、自分が占めている特殊な権威的地位を乱用する卑劣な態度と評すべきである」との箴言論評を発表した。 4 昭電疑獄事件 〔事件の概要〕 戦後の昭和22年4月、衆議院不当財産取引委員会で行われた昭和電工への復興金融金庫融資を巡る汚職疑惑の追及から東京地検の捜査が開始され、同年6月には日野原昭電社長を商工省課長らに対する贈賄被疑者として逮捕し捜査を続けるうちに、これが大疑獄事件に発展。 同年12月までの間に福田赳夫(当時大蔵省主計局長。後の首相)、栗栖赳夫(経済安定本部長)、西尾末広(前首相)ら官僚、現職閣僚、党幹部らが収賄容疑で相次いで逮捕され、芦田均内閣は総辞職。そして芦田前首相も逮捕され、49名が起訴されたが、日野原社長や栗栖氏は有罪であったものの、重要被告人の殆どが無罪で終る。 〔事件の特徴〕 5 造船疑獄事件 〔事件の概要〕 利子補給法等を巡る贈収賄事件と、船会社が造船発注に際し代金の一部をリベートとして賄賂の裏金とした特別背任事件。横田社長の献金メモ押収で一大疑獄事件へと発展。 捜査は、吉田内閣の緒方竹虎副総理、後に首相となる佐藤栄作自由党幹事長、池田勇人同党政調会長、三木武夫同党元幹事長ら大物にも及び、122名の被疑者中、71名が逮捕されて34名が起訴された。 昭和33年7月の判決では、収賄側の有田自由党副幹事長と運輸省官房長は有罪だったが、議員1名と贈賄者側1名は無罪、特別背任の10名は無罪であった。 〔事件の特徴〕 ・指揮権発動 ・宮沢俊義「検察官と世評」―指揮権発動に対する寸評 6 ロッキード事件 〔事件の概要〕 昭和50年8月、アメリカ上院銀行委員会でロッキード社の日本関係者への賄賂提供が問題となり、翌年2月、アメリカ上院外交委員会多国籍企業小委員会公聴会でコーチャン元ロッキード社副会長らの証言から、同社が航空機売り込みにからんで日本の「右翼の大物」に多額の手数料を支払い、日本政府高官に多額の金員を渡して斡旋工作を行ったことが発覚したのが端緒であった。 東京地検特捜部は、同年7月27日には田中角栄前首相を外為法違反で逮捕。勾留後同罪と受託収賄罪で起訴した。 この事件で起訴された橋本元運輸相、若狭全日空社長ら11名が有罪で終結。田中前首相は一、二審では受託収賄罪等で懲役4年・追徴金5億円の実刑判決後、最高裁で審理中に死亡したため、公訴棄却となっている。 〔事件の特徴〕 7 リクルート事件 〔事件の概要〕 江副リクルート社会長が、子会社リクルートコスモス社の値上がり確実な未公開株式を中曽根前首相、当時の竹下現首相、宮沢蔵相ら有力な政治家など政官財界、マスコミ関係者76名に譲渡して利益を上げさせたことが問題となり、一大贈収賄の疑獄へと発展した事件。 東京地検特捜部は、同年10月20日、松原リクルー室長を贈賄の嫌疑で逮捕し、同年11月10日起訴。その後、翌平成元年2月以降、贈賄者は江副会長。収賄者側は、元NTT役員2名とNTT会長秘書1名を始め、真藤NTT会長、加藤前労働次官、高石前文部次官らを相次いで逮捕し、4月25日、竹下内閣は総辞職するに至った。 〔事件の特徴〕 第3 刑事司法の現状と近時の司法改革 1 刑事司法の現状及び検察官、裁判に対する権限控制と国民の「司法参加」 (1)刑事司法の現状 我が国の刑事司法は、「国民性に根ざしながら、綿密な捜査と起訴の厳選、そして精密な裁判審理、すなわち精密司法で行われている」との見方が支配的。 (2)検察官に対する控制機能 2 近時の司法改革関連法等の概観 (1)国民の司法参加―裁判員制度と起訴強制制度 ア 裁判員制度の創設 〇 裁判員法(裁判員の参加する刑事裁判に関する法律)第1条(趣旨) この法律は国民の中から選任された裁判員が裁判官と共に刑事訴訟手続に関与することが司法に対する国民の理解の増進とその信頼の向上に資することにかんがみ、裁判員の参加する刑事裁判に関し、裁判所法及び刑事訴訟法の特則その他の必要な事項を定めるものとする。 〇 裁判員制度の手続概観 (拙著『刑事訴訟法(第2版)』163頁から引用)

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定時会員総会以降の経緯

平成30年8月22日 平成30年6月16日開催のセミナーにおける吉戒講演録の冊子を民事法情報研究会だよりの号外として発行

平成30年9月16日 通常理事会(10月13日)招集通知

平成30年10月13日 第2回通常理事会開催(平成31年度の役員体制、セミナーの開催通知・配付資料)

平成30年10月15日 後期セミナー(12月8日)開催通知

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