民事法情報研究会だよりNo.44(令和2年4月)

 陽春の候、会員の皆様におかれましてはますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 さて、別途、新年度の会費納入のご案内をお送りしておりますが、都合により前年度限り退会を希望される会員は、4月末日までに郵便・ファックス等でお知らせください。(NN)


今 日 こ の 頃

   このページには、会員の近況を伝える投稿記事等を掲載します。

  私は老化している?(佐々木 暁)  

 「お爺ちゃん大丈夫?」「何が?」「普通に投げても」「う(?_?)当たり前だ、バシッと来い」・・・・・久しぶりに中2の孫とキャッチボールをした。72歳と14歳の会話である。
 私には、4人の孫がいるが、その内3人は、男の子で、3人とも野球大好きで、地元チームにも所属していた(所属している者もいる。)。3人とも小さい頃から私が指導?した。すでに私の法務局の退職も迫っていた頃からである。え、野球の指導?と、この貴重な研究誌を思わず落としそうになった方もおられることを重々承知しながら先に進ませて頂く。その前提として、私の華麗なる野球経歴を披露させて頂かなければならない。
 小学生の頃は、まさに草一杯の広場での草野球。中・高生の体育の授業。民事局野球部所属(補欠。帽子・ユニホーム無し。)。宇都宮局勤務時代の職場対抗野球(ユニホームは借り物。)。東京局野球部・部長(職員課長指定ポスト。)・・・自分史上としては、何とも輝かしい 軽歴 である。
 そんな私に対しての、冒頭の孫の言葉である。誰のおかげで野球が上手くなったのか、誰のおかげでプロ選手仕様のグローブやバットで野球をやれているのか、とつい口に出そうになるのを堪えながら、よくよく考えてみるに、孫は中学の野球部の捕手で時には投手もやるらしい。そんな孫が久しぶりにキャッチボールをする72歳のお爺ちゃんに対して、普通に投げたとしても、しっかり捕球できるのか、怪我でもしたら、と心配した一言のようである。冷静に聞けば何と優しい孫なんだろうと、その場で小遣いでもあげたいくらいの場面であるが、頑固爺の場合はそうはいかない。野球を教えた(少し控え目?)師匠に対して何たる事だ、ここは「ビシッと来い」と言わざるを得ない。速攻でビシッと来た。「痛―」と心の叫び。何とか捕球できた。しばし師匠らしく振る舞い(主に言動にて。)一汗かいて、孫が小さかった頃の慣習に従い、近くのコンビニでアイスを買って終了。孫の目的は、アイスを手中にすることであることを知りながら。
 情けないというのか、年を取ったというのか、いつの間にか孫に気遣いさせたり、手加減をしてもらったりの自分がここにいることに気付かされたような想いに呆然?とはしないまでも、最近の老いを認めたくない、気づかないふりにしっかりと止めを刺された感じである。日常の生活の中の些細なことでも、古稀を過ぎた頃からその動作・言動等に小さい異変が生じつつあることは、本当は自分が一番気が付いているのかもしれない。
 次の事象は例えばである。あくまで例えであり、私の場合ではない。
・平らなところでなぜか躓く。そして、なぜか咄嗟に後ろを振り向く仕草をする。
・車のバック駐車が一回で納まらない。
・いつの間にか階段の手摺りに手が行っている。
・かって普通に見えた坂が急な坂に見える。
・ジョッキングがいつの間にかウオーキングになっている。
・新品のゴルフセットに手も触れない。開封しない。
・夜9時からの2時間ドラマが観きれない。
・トイレが定期券。
・気が長くなったのか。怒るのも面倒になったのか。
・酒量・髪の毛が減った。
・立って靴下が履けない。
・足の爪が切れない。出っ腹のせい?。
・人の名前が出てこない。2・3日後に突然降臨。
・小説の登場人物確認のため、初めの頁に戻ることがよくある。

・・・・・・・
 等々、あくまで例えばのこれらの事象は老化現象、認知症の兆候??思わず頷いている誌友の方がいないことを祈る。
 私は、団塊世代の先頭集団の一人であるが、これらの例えばの事象を辿りながら、やがて近くは22年問題(後期高齢者入)として、社会から疎んじられて、社会的負の遺産と化して行くのは寂しすぎる。生を受けて以来、走り続けてきた昭和22年亥年生まれは、一時代はもてはやされはしたものの7度目の亥年はあっという間に走り去り、今は、令和の鼠に追いかけられながらも、そこはしぶとく、社会や子や孫らに存分に迷惑をかけつつ、十分に老化・老人を楽しみながら、最後は又これまで通りに、葬儀場・火葬場に並ぶことになろうとも、この一度の人生を自分なりに全うし、大往生といきたいものである。
 最後の晩餐に何を食べるか?何が一番好きなのか?まだ決まっていない。これから出会うかもしれない。私の包丁が待っている。老いてこその楽しみが待ち受けていることを期待しながら歩いていたら躓いた。そして、照れ隠しに振り向いて平らな道を睨んでみた。

  お国自慢(土浦花火大会)(大河原清人)  

 平成26年11月1日付けの辞令が発令され、土浦公証役場(茨城県土浦市)に勤務させていただくようになって、今年の元旦で5年と2月が経ちました。この地に地縁血縁もなく、唯一接点を求めるとすれば本省勤務当時、担当していた支局課制要求関連で「土浦支局」について習得した程度の知識であって、土浦の地についての大した知識、見聞のないまま、この地で勤務させていただくこととなりました。公証人の皆さんの中には、大なり小なり、私と同様の境遇でそれぞれの公証役場に勤務をなさっていらっしゃる方も多いことと思います。
 さて、住めば都と言いますが、様々な体験を重ねて今ではこの土浦をすっかり気にいっています。まずは、食べ物が非常に豊富で美味しい。レンコンは、生産量日本一。他にも茨城県には生産量が日本一という作物が多い。メロンだって、栗だって日本一。白菜、ピーマン等々、日本一は続く。関東人の、さらには日本人の胃袋を満たすために頑張っております。また、ほとんど雪が降ることもなく気候も温暖で、かつ、人柄も温かい。交通の便も改善したということもあって、主に茨城県南部中心ではありますが、人口も増えております。
 そこで、この5年余を経て体験したお国自慢といいますか、我が愛すべき土浦の地とその周辺について、少しばかり紹介をさせていただきたいと思います。
(歴史)
 明治4(1871)年に廃藩置県が行われ、当時の土浦藩は土浦県となり、さらに府県の統廃合で新治県の一部となった後、新治県は茨城県に吸収合併され、現在の茨城県になりました。そして、明治22(1889)年の市制町村制が施行され、現在の土浦市を形成することとなる町村が生まれています。 一方、明治5(1872)年に学制が頒布され、土浦町でも明治6年に第一番小学(現土浦小学校)が開校するなど、早くから教育制度も整いました。
 また、土浦周辺では、大正10年に霞ヶ浦海軍航空隊の開設、昭和14年に海軍飛行予科練習部が設置されるなど、土浦は「海軍のまち」として発展しました。そのような中、太平洋戦争が始まる前年の昭和15(1940)年に、土浦町と真鍋町が合併し、土浦市が誕生しました。土浦の名前の由来は、土浦村(現在の稲敷郡美浦村に吸収合併)からそのまま借りたという説、市の中心を流れる桜川の三角州が土でできた浦であることにちなんだという説、土屋藩の「土」と十一の「浦」の合成地名という説を始め、種々あるようですが、日頃から茨城県民の方の話振りからすると、個人的には「津々浦々」からの転訛の説が最も微笑ましいと思っております。
(人口等)
 現在の土浦市の人口は約138,500人(令和元年12月1日現在)で、私が公証人に就任当時の人口の約142,000人(平成26年11月1日現在)と較べると、毎年約500人が減少しています。最も多い時は約144,500人(平成21年10月1日現在)でした。一方、隣接する筑波研究学園都市であるつくば市の人口は約237,400人(令和元年12月1日現在)で、就任当時の人口の約220,300人と較べると、毎年約3,400人が増加しています。このようなことから、土浦支局の管轄する市町村の人口全体(約60万人)では、毎年0.3%程度の微増という状況にあります。加えて、つくば市、土浦市には、多くの外国人が生活しております。取り分けつくば市においては、「国際都市」というキーワードの下、世界有数の研究機関が集積していることから、研究者や留学生などの多くの外国人が在住しています。その数は、つくば市だけで約140カ国、約10,000人に及び、市全体の人口の約4.21%に当たります。我が国が承認している国の数が195ヵ国、我が国に在留する外国人が約237万人、日本全体の人口の約1.76%(平成30年10月1日現在)であることと較べると、つくば市在住の外国人の割合はかなり高いといえます。公証役場にも、毎日のように外国人の方が来所されます。
 なお、土浦市とつくば市の両市は、政令指定都市への移行も視野に入れて、合併に向けた勉強会も一時機運が盛り上がっていましたが、現在この勉強会は解消しています。
(交通)
 平成27年3月14日、東京上野ライン開通により、常磐線が品川駅まで開通し、これに伴い、土浦駅から東京駅まで、特急ときわに乗車すると約50分で移動できるようになりました。また、それに先立つこと10年前、平成17年8月24日には、つくばエクスプレスが開業し、つくば駅から秋葉原駅まで、快速に乗車すると約45分で移動できるようになっています。つくば市への人口流入は、研究学園都市としての進展とこの交通網の整備が大きく影響しているものと思われます。
 なお、平成29年2月26日には、茨城県区間の圏央道が全線開通となり、東名高速、 中央道、関越道、東北道、常磐道、東関東道の放射6高速と接続し、交通網が充実しました。
(土浦花火大会)
 さて、本題のお国自慢といたしましょう。
 毎年10月の第一土曜日、人口14万人の街に一気に70万人を超える人々が関東各地を中心に多方面から押し寄せてきます。土浦の花火大会の当日のことです。土浦では、「かすみがうらマラソン大会」を始め、様々な催し物が開催されますが、これらの催し物で集まる人の数の比ではありません。駅構内はもとより、普段は人が疎らな街並みも、この日だけは別格です。さながら、人の多さは新宿駅通勤時間帯のラッシュ時のようです。
 ところで、冒頭述べましたように平成26年11月から茨城県土浦市で公証人として公証事務を取り扱わせていただいています。体験学習も兼ね、同年10月から土浦市駅前のマンションを借りて生活していますので、昨年までで6回の花火大会を経験させていただいたことになります。このマンションは、土浦市内では珍しい31階建てのマンションで、その29階で寝起きしています。このマンションも直ぐに見つかった訳ではありません。幾度となく土浦に足を運び、いくつかの不動産屋からの紹介を受けるもなかなか気に入るマンションが見つからないまま9月後半に入り、そろそろ妥協をしかけていた時、たまたま車で駅前を通りかかった高層マンションが目に付いたことから、不動産屋の一つに、この話を持ちかけたところ、昨日、空きが出たとのこと。早速、その案内を受けると、不動産屋のキャッチフレーズが、「西向きのこの部屋は、土浦の花火大会のロケーションとして最高。筑波山が、毎日見える。冬には富士山も見える。お勧め。今からですと、今年(平成26年10月)の花火大会に間に合います。」とのこと。家内の勧めもあって、即答。「ここにします。」

 土浦の花火大会は、全国的にはあまり知られていませんが、「長岡」、「大曲」と並び称される「日本の三大花火大会」の一つです。正式な名称は、「土浦全国花火競技大会」と言います。かく言う私自身も、ここに来るまで全く知りませんでした。
 そもそもこの花火大会は、大正14年、土浦市内に在る神龍寺の住職が、山本五十六元帥が同寺に下宿していたこともあり、霞ヶ浦海軍航空隊と親交が深かったことから、航空隊殉職者の慰霊と関東大震災後の不況で疲弊した土浦の経済を活性化するという趣旨で、私財を投じて霞ヶ浦湖畔で開催したのが始まりのようです。途中、第二次世界大戦による中断がありましたが、戦後いち早く復活し、昭和21年9月に第14回大会として再開されました。現在は、桜川畔大曲付近で開催され、昨年が第88回大会となりました。
 この花火大会は、花火師の大会でもあり、「スターマイン日本一」を決める大会とも言われています。花火師たちは、多くの時間と労力を注ぎ込み、数百発の多種多様な花火を組み合わせた土浦仕様のスペシャルスターマインを持ち込んできます。テンポ良く絶妙なタイミングで打ち上がる精魂込めて作られた色とりどりの花火の迫力は圧巻で、観る人の心をとらえて離しません。スターマインの部の優勝者に経済産業大臣賞、10号玉の部の優勝者に中小企業庁長官賞、創造花火の部の優勝者に茨城県知事賞がそれぞれ授与されており、これらの賞を取ることが花火師にとって最高の栄誉となっています。さらに、平成12年からは、3部門の優勝者の中から煙火技術の向上に貢献し、観る人に感動を与えたと認められる最も優秀な花火師に内閣総理大臣賞が授与されるようになりましたが、これは、数ある花火大会の中でも土浦と大曲の花火大会だけに授与される賞で、全国の花火師たちの目標となっています。

 豪華な花火の数々は、その一つ一つが一般の花火大会であれば最後に打ち上げられるような花火ばかりで、観客の皆は、そのすばらしさに最初から最後まで歓声を上げ続けているような状態です。土浦市が発行した一昨年の広報誌には、「瞬(まばた)きするのがもったいない。」と謳っていました。まさに、そのとおりです。取り分け暑い盛りに打ち上げられる花火とは異なり、秋の夜空に打ち上げられる花火は、少し肌寒いひんやりとした風と澄んだ空気により、くっきりと鮮やかな色合いと明解な輪郭が目に焼き付きます。是非、皆様にご覧いただきたいとは思いますが、帰路は、多くの人々が一気に土浦駅に向けて動き出しますので、非常なる覚悟が必要となります。
 なお、昨年は、同時期に茨城県内で、国体が開催されたため、花火大会の開催時期が延期され、10月26日(土)午後6時から行われております。

(その他)
 最近では自転車の街として、日本一長いサイクリングロード「つくば霞ヶ浦りんりんロード」や「りんりんスクエア土浦」が整備され、サイクリングの街として売り出し中です。平成28年3月、土浦駅中(えきなか)には、サイクルスポットの大型店である自転車専門店の「ル・サイク土浦店」がオープンしました。また、今年3月には、星野リゾートによる“自転車を楽しむ”ホテル「星野リゾート ベブファイブ(BEB5) 土浦」が、オープンする予定と聞いています。
(令和2年1月記)

実 務 の 広 場

   このページは、公証人等に参考になると思われる事例を紹介するものであり、意見にわたる個所は筆者の個人的見解です。

No.76 信託契約公正証書作成の要点 ~「そこが知りたかった!民事信託Q&A100」を中心に~

 信託契約は、契約内容が多岐にわたり、契約内容を特約として自由に取り決められる項目も多いことなどから、公証人泣かせの法律行為といえるかもしれません。本稿は、令和元年7月20日に開催された日公連信託研修会の講師・税理士宮田房枝氏の著書(下記参照)等を中心に、手控えとしてまとめたものです。誌面の都合上、記述内容に不足がある場合は、原典を参照願います。
 なお、*の記載部分は、筆者の個人的見解です。 
  参照:宮田房枝 そこが知りたかった!民事信託Q&A100
            (以下「Q&A」という。)
         伊庭潔 信託法からみた民事信託の実務と信託契約書例
            (以下「契約書例」という。)
      遠藤英嗣:家族信託契約(以下「家族信託」という。)

1 信託(Q&A2頁)

 「信託」とは、もともとの財産の所有者(委託者)が一定の目的のために、信託契約・遺言・信託宣言(信託行為)によって信頼できる者(受託者)に対して財産を移転し、その受託者はその信託行為に従って、その目的(信託の目的)の達成のために、その移転を受けた財産(信託財産)の管理処分等をするという法律関係をいう。そして、その信託財産に係る給付を受ける権利等(受益権)は、信託行為で定められた者(受益者)が有する。

2 信託契約(Q&A7頁)

  委託者と受託者が、次のa及びbを記載した契約(信託契約)を締結する方法である。
a 受託者に対し財産の譲渡、担保権の設定その他の財産の処分をする旨
b 受託者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他のその目的の達成のために必要な行為をすべき旨
 受益者は信託契約の当事者とならない。
 受益者と受託者の信認関係(バランスの取れた信頼関係)が確立していること。この要件は、具体的には、
 ⑴ 受託者の権利義務が明確にされていること。
 ⑵ 受益者の権利が守られ、受益者保護関係人などが活用されていること。

3 信託でなければできないこと(信託の独自的機能)(契約書例14頁)

 ⑴ 信託の転換機能
 信託は形式的な権利帰属者と実質的利益享受者が分かれている特徴があることから、次のような独自の転換機能があると分析されている。
ア 権利者の属性の転換
 財産管理能力が減退してきた高齢者は、財産を十分に管理することができないばかりか、財産を管理することが苦痛になってくる。そのような場合に信託を利用することにより、高齢者に代わって、財産管理を十分に行うことができる親族等に財産を管理させることができる。
 これは、信託の利用により、高齢者から財産管理能力がある親族等に、権利者の属性が転換されたものである。
イ 権利者の数の転換
 ある権利者が一人で財産を管理することが困難になった場合には、信託を利用することにより、複数の受託者に財産を管理させることができる。
 これは、信託の利用により、権利者が一人から複数へ、権利者の数が転換されたものである。
 なお、信託を利用することによって、上記(受託者複数の信託)とは逆に多数の権利者を一人の権利者にまとめることもできる。
ウ 利益享受の時間的な転換
 権利者に対し一度に財産を与えることが不適当な場合や権利者が死亡した後にも特定の者に利益を享受させたいと考えた場合、信託を利用することにより、利益享受者の利益享受を先延ばしさせるなど、時間的にコントロールすることができる。
 これは、信託の利用により、利益享受者の利益享受が時間的に転換されたものである。
エ 権利の性状の転換
 信託の基本的な法的構造上、権利者の有する権利は所有権や株主権でも、受益者が有する権利は、受託者に対する債権となる。
 例えば、事業承継に際し、信託を利用することで、株主権の自益権と共益権を区別し、後継者および非後継者ともに自益権に相当する受益権を与えることができるので、非後継者の遺留分に配慮しながら、後継者には共益権に相当する議決権行使の指図権を保持させることにより、後継者が安定的に会社経営を行うことを可能とする。
 ⑵ 信託財産の独立性
 信託の特徴として、信託財産は受託者の固有財産とは別個独立のものとして扱われる(信託財産の独立性)。
 この信託の特徴から、信託を利用することにより、「財産の安全地帯」をつくることができるといわれている。仮に、受託者が破産したとしても、信託財産は破産財団を構成することにはならない(信託法25条)。これを信託の倒産隔離機能と呼ぶ。
 ⑶ 信託の柔軟性
 信託では、委託者が受益権の発生、変更、消滅及び帰属を自由に定めることができる(信託の柔軟性)。
 信託を利用することにより、委託者が自分の財産を後妻へ与え、後妻の死後には、後妻とは血縁関係がない委託者の先妻との間の実子に財産を与えることができる。遺言による後継ぎ遺贈は無効との見解が有力であるが、信託では受益者を連続して指定することによって後継ぎ遺贈と同じ効果を実現することができる。

4 信託行為の記載事項(Q&A11頁)

 どのような事項を記載するかは、信託の目的などによって異なるが、例えば次のような事項を記載する。Ⅰ信託の目的、Ⅱ信託財産、Ⅲ信託財産の管理・処分の方法、Ⅳ信託期間、Ⅴ委託者、Ⅵ受託者、Ⅶ受益者、Ⅷ信託財産の給付の方法、Ⅸ信託報酬、Ⅹ信託の変更、Ⅺ清算に関する事項、Ⅻ残余財産の帰属者(以下、項目毎に説明する。)
Ⅰ 信託の目的
(信託目的)
 第1条 本信託の信託目的は、以下のとおりである。
 委託者所有の不動産及び預金の一部を受託者が管理または処分等することにより、
 ㈠ 委託者の財産管理の負担を軽減すること。
 ㈡ 委託者の不動産を信託財産として有効に活用することにより経済的な利益を生じさせること。(契約書例235頁)
* 「財産の管理又は処分等」のみを記載する例があるが、それは信託目的を達成するための手段にすぎないと思われる。
Ⅱ 信託財産(積極財産のみ) 
 不動産   
 預 金 委託者は、信託目録○記載の預金を払い戻して、当該払戻金を受託者に引き渡す(預金のまま信託財産への変更(名義変更)は、預金には譲渡禁止特約が付されているので金融機関が認めない。)。
 委託者の債務を引継ぐ場合は、信託財産責任負担債務とすること(Q&A23頁)。不動産(プラスの財産)を信託したい場合に、それに係る借入(マイナスの財産)だけ手許に残っても困る場合がありますので、そういった場合には、不動産のみを信託財産とし、借入については受託者が債務引受けをすることにより(金融機関からの借入の場合、事前に金融機関と相談しておくことをお勧めします。)、実質的には消極財産も信託したのと同じ状態を作ることができます。
 信託の追加 委託者は、受託者の同意を得て、金銭を本信託に追加することができる。ただし、委託者でない受益者は、信託行為の当事者ではないので(贈与として課税される。)、「受益者が金銭を追加信託することができる」との条項は、当該受益者が判断能力がなくなり後見人が就任したときはその後見人から信託の追加を拒否される場合も想定される。
* 委託者でない受益者は、信託の追加義務を負うことはないので、信託の追加義務を負わせる場合は、以下の例が考えられる。
(信託の追加)
第○条 委託者及び受益者は、受託者の同意を得て、金銭を本信託に追加することができる。
② 受益者が追加信託する際に、受益者に受益者代理人が就任しているときは、受益者代理人の同意を得なければならない。
(委託者の地位の承継)
第○条 委託者は、追加信託をする権利義務のみを受益者に移転する。
② 委託者は、本信託に記載のある権利のみを持ち、委託者の地位は、受益権の移転に伴って受益者に帰属する。
 信託財産の分別管理(Q&A24頁) 信託財産は、登記等の方法により、受託者の固有財産や他の信託の信託財産(受託者が複数の信託の引き受けをしている場合)と分別管理することが求められます。この分別管理は、受託者の義務です(信託法34①)。登記又は登録をすることができる財産については、受託者は必ず信託の登記又は登録をしなければならず、これをしなければ、その財産が信託財産であることを第三者に対抗することができません(信託法14、34②)。
 なお、受託者が分別管理を怠ったことにより信託財産に損失や変更が生じたときは、受託者は、分別管理をしたとしても損失又は変更が生じたことを証明した場合等を除き、その損失のてん補又は原状回復の責任を負います(信託法40①④、受益者によるその責任の免除は42一)。
 倒産隔離機能(Q&A30頁)とは、信託財産のうち登記又は登録することができる財産は信託の登記又は登録をすることにより、また、それ以外の財産については外形上区別することができる状態で保管する方法等により、分別管理されます。これにより、信託開始後、委託者や受託者が破産するなどしたとしても、信託財産には影響を与えません(信託法23①、25①)。
Ⅲ 信託財産管理・処分の方法
 ⑴ 財産の管理処分権限(排他的)があること。
 ⑵ 受託者の権利義務が明確にされていること。
(受託者の信託事務)
第10条 受託者は、以下の信託事務を行う。
 ㈠ 信託財産目録記載1,2及び3の信託不動産を管理、処分すること。
 ㈡ 信託財産目録記載2の信託不動産を第三者に賃貸し、第三者から賃料を受領すること。
 ㈢ 前号によって受領した賃料を、上記㈠号の信託不動産を管理するために支出すること。
 ㈣ 上記㈠号及び㈡号において受領した売却代金及び賃料を管理し、受益者の生活費、医療費及び介護費用等に充てるために支出すること。
 ㈤ 信託財産に属する金銭及び預金を管理し、受益者の生活費、医療費及び介護費用等に充てるために支出すること。
 ㈥ 信託財産目録記載3の信託不動産の売却代金を管理し、受益者の生活費、医療費及び介護費用等に充てるために支出すること。
 ㈦ その他信託目的を達成するために必要な事務を行うこと。
(信託事務処理の第三者への委託)
第11条 受託者は、信託財産目録記載1及び2の信託不動産の管理を第三者に委託することができる(「信託事務代行者」(家族信託239頁)。
② 本信託の信託事務代行者として、次の者(○○○○)を指定する。
③ 前項の信託事務代行者が任務を遂行できないときは、上記○○○○が受託者に届け出た書面により指定した者又は同等の専門的知識を有する者を後継の信託事務代行者とする。
善管注意義務
第12条 受託者は、信託財産の管理、処分その他の信託事務について善良な管理者の注意をもって処理しなければならない。(分別管理義務
第13条 受託者は、信託財産に属する金銭及び預金と受託者の固有財産とを、以下の各号に定める方法により、分別して管理しなければならない。
 ㈠ 金銭 信託財産に属する財産と受託者の固有財産とを外形上区別することができる状態で保管する方法
 ㈡ 預金 信託財産に属する預金専用の口座を開設する方法
* 信託専用口座は、多くの金融機関ではまだ開設できない状況ですが、この要件が認められないことのみをもって信託契約公正証書を作成することができないとする意見には、信託契約が私署証書で作成できることからして消極である。
(帳簿等の作成・報告・保存義務)
第14条 本信託の計算期間は、毎年1月1日から6月30日まで及び7月1日から12月31日までとする。ただし、第1期の計算期間は、信託開始日から令和○年12月31日までとする。
② 受託者は、信託事務に関する計算を明らかにするため、信託財産に属する財産及び信託財産責任負担債務の状況を記録しなければならない。
③ 受託者は、信託財産に関し、第1項の信託期間に対応する信託財産目録及び収支計算書を当該計算期間が満了した月の翌月末日までに作成しなければならない。
④ 受託者は、信託財産目録記載2の信託不動産を第三者に賃貸することに関し、賃借人の退去、新たな賃借人の入居及び賃料並びに管理費の変更など賃貸借契約の当事者及び内容等に変更があった場合には、その経過報告書を作成しなければならない。
⑤ 受託者は、第3項記載の信託財産目録及び収支計算書を、第3項により決められた期日までに、受益者代理人に提出しなければならない。
⑥ 受託者は、第4項記載の経過報告書を、その作成の都度、受益者及び信託監督人に提出しなければならない。
⑦ 受託者は、第2項に基づき作成した帳簿は作成の日から10年間、第5項並びに前項に基づき受益者代理人に提出した書類は信託の清算の結了の日までの間、保存しなければならない。
(信託費用の償還)
第15条 受託者は、信託事務処理に係る費用を、直接、信託財産から償還を受けることができる。
② 受託者は、受益者から信託事務処理にかかる費用の償還または前払いを受けることができる。(契約書例104頁)
Ⅳ 信託期間(必ず明記する)
第○条 本信託は、本信託契約と同時に効力が生じ、次の事由によって終了する。
 ㈠ 受益者A及び受益者Bのいずれもが死亡したとき。
 ㈡ 信託財産が消滅したとき。(家族信託226頁)
Ⅴ 委託者(Q&A4頁)  信託される財産のもともとの所有者で、一定の目的のために、信託行為によって、信託を設定する者をいう。
Ⅵ 受託者(Q&A4頁) 委託者から信頼され財産を託された者で、信託行為の定めに従って、信託の目的の達成のために信託財産の管理・処分等の必要な行為をすべき義務を負う者をいう。
 受託者となる場合の注意点(Q&A35頁)民事信託の多くは、限定責任信託ではない信託で、かつ「信託債権を有する者との間で信託財産のみをもってその履行の責任を負う旨の合意」はせずに取引をすることになると考えられます。したがって、軽い気持ちで信託の受託者になることには注意が必要です。仮に信託財産に災害による損害が発生し、損害賠償請求された場合、基本的に受託者の固有財産もその責任財産となります。
 受託者の辞任・解任に関する定めを置くこと。この定めがないと、受託者の辞任は、委託者及び受益者の同意を得るか、やむを得ない事由があるときに裁判所の許可を得ることによって辞任することができ、解任は、委託者及び受益者の合意によるか、受託者がその任務に違反して信託財産に著しい損害を与えたことその他重要な事由があるときに委託者又は受益者の申立てにより裁判所が解任することとなる(Q&A69、70頁)。この定めを置くことを検討する。
 後継受託者(Q&A66頁) 信託行為に新受託者に関する定めがあり、その定められた新受託者が信託の引受けをすれば、その定められた者が新受託者となる。
 信託行為に新たな後継受託者の定めがないときは、委託者及び受益者の合意で、委託者が現存しない場合は受益者が新受託者を選任することができる(信託法62条)。
 特定委託者とは、信託の変更をする権限(他の者との合意により信託の変更をする権限を含む。)を現に有し、かつ、その信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)をいうとされる(相続税法9条の2⑤、相続税法施行令1条の7)。特定委託者は、税務上のみなし受益者とされ、課税対象となるので、そうならないように留意すること。
 一般に「信託の変更」とは、信託行為に定められた信託の目的、信託財産の管理方法、受益者に対する信託財産の給付の内容その他の事項について、事後的に変更することである。その他の事項の変更には、受益者そのものの変更や受益権の割合の変更、さらには信託契約の一部もしくは全部の終了に関する権限を有する者も当然に含まれる。代表的な例は、帰属権利者になっている受託者が何でも変更できる家族信託といわれるものがそうであるが、かかる事例は、そもそも信託設定の目的が確定できていない無効なものとされよう(家族信託157頁)。
Ⅶ 受益者(Q&A4、99頁) 受益権を有する者をいう。
 受益者の有する信託に関する権利は、①「受託者を監督する権利」、②「意思決定に係る権利」とに大別できる。受益者の判断能力が衰えた場合の備えとして、受益者の権利が守られるよう、受益者代理人を置く定め(この規定がないと受益者代理人を置けない。)が必要である。
 受益者代理人(Q&A148頁)とは、その代理する受益者のために受益者の権利を行使する者をいう。受益者代理人が選任されると、受益者は信託法第92条各号に掲げる権利(受託者を監督する権利)及び信託行為において定めた権利を除いて、権利を行使することができなくなる(信託法139条④)。例えば、複数の受益者が存在する場合において受益者の権利を統一したいときや、受益者が重度の知的障害者であったり、認知症であったりする場合等に活用する。
 信託監督人(Q&A137頁)とは、受益者が現存する場合に受益者のために受託者を監視・監督する者をいう。例えば、受益者が高齢者や未成年者であるなど、受益者が受託者を監視・監督することが困難な場合等に選任する。
 当初受益者 委託者でない者が受益者となる場合は、委託者から受益者への贈与とみなされ課税されるので留意すること。
 信託のパズルリレー、「受益者の定め」(家族信託125頁)帰属権利者にたどり着く受益者の定めが必要。民事信託では、受益者が連続する場合、いかなる想定外のことが起きても最後の帰属権利者までつながることが、信託創造者の腕の見せ所である。
 受益者条項には大事な予備的補充条項(家族信託221頁)
 受益者の定めは、信託創造者の力量が問われる重要な事項である。
 この後継受益者や予備的条項が完全でないと、ドミノ倒しで隣の牌を倒すことができず、結果最後の牌にたどり着かないのと同様、帰属権利者まではたどり着けないのである。
 人は、年齢順に死亡するとは限らない。このことは、誰でも理解していることだが、高齢者は「自分より先に子どもが死ぬわけがない」として素直に受け入れようとしない場合がある。信託をすべての可能性を視野に入れたものとするために、そこは素直に受け入れてもらう必要がある。
 受益権(Q&A6頁)受益者の有する権利の総称。①信託行為に基づいて受託者が受益者に対し負う債務であって、信託財産に係る給付をすべきものに係る債権。+②①を確保するために信託法に基づいて受託者その他の者に対し一定の行為を求めることができる権利
(受益権)
第18条 受益者は、受益権として以下の内容の権利を有する。
 ㈠ 信託財産目録記載2の信託不動産を第三者に賃貸したことによる賃料から給付を受ける権利
 ㈡ 信託財産目録記載1及び2の信託不動産が処分された場合には、その代価から給付を受ける権利
 ㈢ 信託財産目録記載3の信託不動産を生活の本拠として使用する権利
 ㈣ 前号の信託不動産が処分された場合には、その代価から給付を受ける権利
 ㈤ 信託財産目録記載4の預金から給付を受ける権利(契約書例106頁)
Ⅷ 信託財産の給付の方法
(信託財産の給付方法)
第19条 受託者は、受益者の生活に必要な資金として次のとおり定期に又は実際の必要に応じて随時に、信託財産目録記載の金銭及び預金から受益者に対し給付する。
 ㈠ 定期給付
 受託者は、毎月○万円を受益者に交付する。
 ㈡ 随時給付
 受益者の生活(医療、介護等)に必要な資金について、受益者代理人(当初受益者)から給付要求があるときは、受託者は、その都度、必要額を受益者に給付する(受益者〇〇名義の銀行口座に振り込む。)。(契約書例106頁)
Ⅸ 信託報酬 
第○条 受託者は、委託者と協議のうえ、その同意を得て信託報酬を受け取ることができる。ただし、当面の報酬は月額○万円とする。
② 受益者代理人及び信託監督人には、旅費及び相当額の日当を支払うものとする。
Ⅹ 信託の変更
 信託の変更は、委託者、受託者及び受益者の合意によってすることができる(信託法149条①)。
 別段の定めを設けることができる(Q&A164頁)。
 変更しにくい設計:信託行為に「委託者しか変更できない」、「委託者と受託者の合意がないと変更できない」。
 委託者が現存しない場合:委託者の地位が相続されない定めのある場合、委託者が変更当事者となっているパターンの変更はできません(信託法149条⑤)。つまり、委託者の死亡後は、信託の目的に反しないことが明らかではない場合に変更できなくなるので、別段の定めをしておく必要がある。
(信託の変更)
第23条 本信託において受益者代理人が存在する場合には、受託者及び受益者または受益者代理人が協議し、両名の合意により、信託の変更をすることができる。
② 本信託において受益者代理人が存在しない場合には、信託目的に反しないこと及び受益者の利益に適合することが明らかであるときに限り、受託者の書面による意思表示により、信託を変更することができる。(契約書例107頁)
Ⅺ 清算に関する事項
信託の終了事由(信託法163条、164条)
 ⅰ 信託の目的を達成したとき、又は信託の目的を達成することができなくなったとき。
 ⅱ 受託者が受益権の全部を固有財産で有する状態が1年間継続したとき。
 ⅲ 受託者が欠けた場合であって、新受託者が就任しない状態が1年間継続したとき。
 ⅳ 委託者及び受益者が信託終了の合意をしたとき。
 ⅴ その他
(信託の終了事由)
第24条 本信託は、受益者X及びAの死亡により終了する。(契約書例107頁)
 ⑵ 清算受託者(信託終了した時以後の受託者のこと。通常は、信託終了時の受託者を指定する。)
Ⅻ 残余財産の帰属者(Q&A185頁) 信託が終了した場合、残余財産は、信託行為に残余財産受益者又は帰属権利者の定めがあればその者に、定めがない場合やその定められたすべての者がその権利を放棄した場合は、委託者又はその相続人等に、それでも決まらない場合は清算受託者に帰属する(信託法182)。
(残余財産受益者)
第25条  本信託の受益者を残余財産受益者とする。(契約書例240頁)
(残余財産受益者)
第22条  受益者の法定相続人を本信託の残余財産受益者として指定する。(契約書例192頁)
(帰属権利者等)
第27条  信託財産目録記載○の不動産については、本信託の受益者を残余財産受益者として指定する。
②  信託財産である金銭については、B(住所:    、生年月日:  )を帰属権利者として指定する。(契約書例144頁)
5 信託管理人(Q&A126頁)とは、受益者が現存しない場合において、受益者のために受益者の権利を行使することができる者をいう。例えば、受益者がまだ生まれていない場合や、受益者の定めのない信託の場合等に、登場させることができる。
6 遺言代用信託(信託を遺言代わりに使う)(Q&A18頁)信託行為においてあらかじめ委託者の死亡後の受益者や残余財産の帰属権利者を定めておくことにより、委託者の死亡を機に、実質的な財産の所有者が委託者からあらかじめ定めた受益者や残余財産の帰属権利者に変更されるように設計することができます。このように、信託行為を遺言代わりに使っているものを、民事信託では、「遺言代用信託」といいます。
7 信託創造者による依頼者への説明の要点(家族信託110頁)
 信託設定の留意点と依頼者への説明のポイント
⑴ 依頼者への説明の要点の第1は、信託が特異な制度であること
   このことを最初に説明することが大事である。
⑵ 受託者については後継者も含め選任が難しくしかも重要であること
 受託者は、信託当事者その他信託関係人の中にあっても、最も活動的で中心的役割を果たす人物であり、この者に財産を託す以上は信頼できる堅実でしかも信託の知識を有する人を選任することが求められる。また、信託業法の規制があり、安易に専門職等を選任できないうえ、既存の株式会社等を利用できないこと。特に「信託の引受を業として行う者」は、「免許を受けた信託会社」でなければならず、「営業として行う」限り例外はない(信託業法3条、2条1項、・2項)ので、常に後継受託者の準備を怠らないことである。
 受託者は、受益者にはなれるが、少なくとももう一人の受益者が必要で、受益権全部を固有財産で有する状態が1年間継続すると信託が終了してしまうこととなる(信託法163条二)。
⑶ 財産が誰のものでもなくなること
 信託財産は受託者名義にはなるが、受託者の固有財産になるわけではなく、受託者の財産から別個独立した特殊な法律関係にある誰のものでもない財産になる。信託財産は、信託の設定によって形式上確かに受託者の所有名義にはなるが、その実は、①信託財産は受託者とケーブルでつながれた状態で、宙に浮き誰のものでもない財産となること、②受託者はそのケーブルを利用して信託財産を管理運用するなど必要な信託事務処理を行うこと、また③信託財産には受益者の数だけ導管が付いていて受益者がその管から手をのばせば必要な給付を受けられる仕組みになっていること。
⑷ 正しい信託には信託設定の段階から金銭等金融資産が信託財産として必要なこと
 相談の中には、「信託財産は、自宅不動産だけで、金融資産はない」という説明が少なくない。信託設定に必要な不動産に関する所有権移転登記や信託登記費用、さらには公租公課などの諸費用、信託報酬がある場合のその費用などは、誰が負担するのか。受益者は負担しないのが原則である(信託行為で、受益者が負担しろとは定めることができない。信託創造者としては信託に必要な金融資産は忘れてはならない。)。
⑸ 信託関係人については予備的定めが必要であること
 民事信託、中でも福祉型信託は、信託期間が長い。受益者が連続する場合はもとより、若年の障害者などを受益者とする信託は、30年、いや50年を超えるものもあろう。その間、受益者以外の信託関係人は、死亡しあるいは信託関係事務を処理することができない状態になる。そこで必要なのが、次のような予備的信託関係人の定めである。
 ① 受託者と後継受託者
 ② 後継の受益者とその予備的受益者
 ③ 第一次受益者保護関係人と予備的保護関係人
 ④ 受益者指定権限者や指図同意権者
 受益者連続信託にあっては、確実に受益者が連続するような定めを設けるとともに、信託の終了時には残余財産受益者若しくは帰属権利者に確実につながるよう、漏れのない定めをすることが大切である。
⑹ 信託当事者の地位の承継(相続)について考えること
 (委託者)遺言信託は、特段の定めがない限り、委託者の地位は相続により承継しない。信託契約にあっては、原則委託者の地位は相続することになる。しかし、実務は、信託が開始すれば委託者はかやの外、これが契約でも貫かれることが多い。
 (受託者)受託者の死亡は、受託者の任務が終了し(信託法56条①一)、受託者の地位の承継の問題は生じない。
 (受益者)受益者は、受益権を保有し、この受益権は相続される。しかし、実務では、この受益権が相続人に分散されることによって多数の受益者が登場し、信託事務に支障が生じないように、先の受益者が死亡したときに受益権を特定の者に新たに取得させるとする信託条項が定められていることが多い。
⑺ 長期間にわたる信託については信託の変更の必要性を常に考えること
 信託は、長期にわたるその過程で機能しない部分のある場合、多くは信託の変更で解決することになる。この場合、多くは信託創造者に相談をして必要な手続をすることになる。
⑻ 課税問題があること
 信託の課税の仕組みと負担の可能性については、専門家に確認のうえ依頼者等に伝える必要がある(注:公証人としては、嘱託人に対して課税関係を専門家に確認するように助言する。)。
(栁井康夫)

  No.77  遺留分侵害額の支払に代えて行う資産の移転について  

1 昨年の民法改正(令和元年7月1日施行分)後に開始した相続に関する遺留分請求は、改正前の遺留分減殺請求(遺贈等の効力を、遺留分の限度で否定する。)とは異なり、遺贈等の効力はそのまま維持した上で遺留分侵害額に相当する金銭の債権請求をすることとなりました。
 この相当額を金銭で支払えれば問題ないのですが、相続財産が不動産など金銭以外の資産ばかりで金銭の支払いが困難な場合に、遺留分侵害額の全部又は一部に代えて不動産など金銭以外の相続財産を譲渡することで解決しようとする事例があります。
 法改正前であれば、遺留分減殺請求に対して、遺贈を受けた不動産などの資産を譲渡した場合でも、相続税や登録免許税の取扱いについては、譲渡された資産は遺留分権利者が「相続」したものとして扱われていました。
 しかしながら、法改正後に開始した相続では、遺留分侵害額に相当する請求を受け、当該金銭債権の全部又は一部に代えて不動産などの資産を譲渡すると、その資産が相続財産かそれ以外の資産かにかかわらず、税法上、金銭債権に対する代物弁済として扱われますので(注)、譲渡した者には譲渡所得税が、当該資産の譲渡を受けた者には不動産取得税がそれぞれ課税されることになり、また、不動産の所有権移転登記の登録免許税も、相続ではなく代物弁済となって、1000分の4ではなく1000分の20ということになります
(注)国税庁が、令和元年6月28日付けで公表した法令解釈通達(抄)
(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて行う資産の移転)
 33-1の6 民法第1046条第1項《遺留分侵害額の請求》の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産(当該遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求の基因となった遺贈又は贈与により取得したものを含む。)の移転があったときは、その履行をした者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債務の額に相当する価額により当該資産を譲渡したこととなる。
(遺留分侵害額の請求に基づく金銭の支払に代えて移転を受けた資産の取得費)
 38-7の2 民法第1046条第1項の規定による遺留分侵害額に相当する金銭の支払請求があった場合において、金銭の支払に代えて、その債務の全部又は一部の履行として資産の移転があったときは、その履行を受けた者は、原則として、その履行があった時においてその履行により消滅した債権の額に相当する価額により当該資産を取得したこととなる。
2 今後は、遺留分請求が予想される場合には、遺留分請求を受けるべき者に相当分の金融資産を相続させておいたり、別途死亡保険金を受け取れるようにしておくなどの配慮が求められることになりますし、遺留分請求が確実と予想されるような場合には、遺留分権利者になると予想される者に遺言である程度の財産を相続させておいて、残りは金銭で解決できるようにしておくなどの対応も考えられますので、遺言公正証書作成の相談を受けた際には、このような点もアドバイスする必要があると思われます。
 いずれにしても、税金面でどうなるかということが前提となりますので、あらかじめ税理士等の専門家に相談するよう促すのが相当と考えます。
3 ところで、改正前の民法第1034条ただし書きの別段の定めとして、「遺留分減殺請求については、先ず長男に対するA土地の遺贈から減殺すること。」というように、特定の遺贈から先ず減殺すべき旨(以下「旧別段条項」といいます。)を定めていた遺言が法改正後にその効力を生じることとなった場合、当該旧別段条項の効力はどうなるのでしょうか。
 改正前の民法第1034条ただし書きと同様の規定は、改正後の民法第1047条第1項第2号にありますが、意味は同じではありません。
 改正前の遺留分減殺請求は、遺贈の効力を遺留分の限度で否定するというものでしたから、特定の資産の遺贈の効力についての別段の定めをすることもできたわけですが、改正後は、遺贈の目的の価額の割合に応じて金銭債務を負担するという原則に対する、金銭債務負担割合に関する別段の定めとなります。
 今回の法改正では、改正前に作成された遺言中の旧別段条項の効力が改正後に生じた場合の取扱いについて、特段の経過規定は見当たりません。
4 当事者双方が、上記旧別段条項を、法改正の趣旨に従って「遺留分侵害額の請求については、先ず長男が、A土地の価額に相当する金銭債務を負担する。」と解釈することに合意し、その合意に基づいて遺留分侵害額の請求に対する金銭債務の支払いをするのであれば問題は生じないのですが、遺留分侵害額の請求に対して、法改正後に効力を生じた遺言中の旧別段条項の文言どおり、相続人がその全部又は一部の履行として土地を譲渡することとし、遺留分権利者もこれに合意して土地の所有権移転登記手続きをした場合、相続による所有権移転ではなく代物弁済となることから、思いがけない税負担が双方に生じることになってしまいます。
 これまでのところ、この点についてあまり積極的な広報等がされていないようで気になるところです。
 特定の資産の遺贈を対象とした旧別段条項を含む遺言を法改正前に作成していた場合、法改正後に相続が開始してからその文言どおりに資産を譲渡しようとするときは、事前に税負担の問題を検討する必要があること、及び、このような問題を踏まえて改めて遺言を作り直しておいた方が良い場合があることを、公証人としても周知する必要があるのではないでしょうか。
(星野英敏)

  No.78  株式会社かんぽ生命の「普通養老保険」に関する遺言書の作成について  

1 始めに
 最近、株式会社かんぽ生命の「普通養老保険」の保険金の受取等について遺言をしたいと仰る方が相次いで来所されました。内容の確認と思ってこちらから郵便局に相談しても対応してもらえず、相談者に、郵便局に行ってよ~く相談するようにと促しても、きちんとした回答が得られず、結果的に、遺言書への記載は見送っていたところでした。
 今般、税理士が仲介している案件で、この「普通養老保険」について遺言したいという事例があったので遺言者及び税理士で郵便局に行ってもらって、詳細を聴き出すことができましたので、その概要を紹介します。
 ところで、養老保険とは生命保険の一種で、一定期間の死亡保障と将来に向けた貯蓄機能を兼ね備えた保険です。①保険期間中に被保険者が死亡した場合には、死亡保険金受取人は死亡保険金を、②被保険者が生存して満期を迎えた場合には、満期保険金受取人は満期保険金をそれぞれ受け取ることができます。また、③満期前に解約した場合には、保険契約者は解約返戻金を受け取ることができます。
2 保険契約の概要等
⑴ 相談があった保険契約の概要は、次のとおりです。
保険会社 株式会社かんぽ生命
保険種類 《新フリープラン》普通養老保険(56歳満期)
保険契約者 A
被保険者 B(注・Aの孫)
 加入年齢46歳
保険金受取人 満期保険金 A
       死亡保険金 A
保険金額 満期保険金 金300万円
     死亡保険金 金300万円
契約日(保険期間の始期) 平成26年1月15日
保険期間満了年齢 56歳
保険期間の終期 平成36年(注・令和6年)1月14日
 保険証券には、「お願い」と題して次の記述があります。
 「普通保険約款により、本保険契約の保険金、返戻金または契約者配当金を受け取るべき権利を、他人に譲り渡すことはできません。」
⑵ 遺言者の意向
 第1案 満期保険金、死亡保険金、解約返礼金等の保険契約に係る請求権一切をBに遺贈したい
 第2案 満期保険金、死亡保険金、解約返礼金等の保険契約に係る受取人をBに変更したい。
 第3案 ①第1案の請求権一切をBに3分の2、C(注・Aの孫)に3分の1の割合でそれぞれ遺贈したい、又は②保険金等の金銭の受取人をB及びCとし、それらの保険契約に係る請求権の割合を、Bが3分の2、Cが3分の1と定めたい。
3 Aが、満期前に死亡した場合に関する郵便局担当者の説明の概要は、次のとおりです。
⑴ Aが、満期前に死亡し、満期前に解約手続を行う場合
 今回の相談事案の契約では、保険料は契約時に全額の支払が済んでいるので、「契約者の変更」及び「解約」の手続を同時に行うこととなり、その後解約返礼金等の請求及びその受取りとなります。
 この場合、解約手続を行うことにより、①解約返礼金を受け取ることができるのですが、その手続ができるのは、保険契約者の法定相続人のみに限定されます。また、②保険の解約時から満期日までの期間の保険料の払戻しがされますが、保険料の払戻しを解約金・保険金と同時に行う場合は、解約金・保険金の受取人にこの払戻しがされます。
⑵ Aが、満期前に死亡し、解約手続をしないまま満期日を過ぎた後に手続を行う場合
 この場合、受け取る金銭は、「満期保険金」であり、この満期保険金の保険金受取人であるAが保険金の支払事由の発生以前に死亡したとき、すなわちAが満期前に死亡しているときは、満期保険金の請求ができるのは、被保険者であるBに限定されます。
⑶ Aが、満期前に死亡したものの、満期まで契約を継続する場合
 今回の相談事案は、保険料を全額前払だったのですが、毎月払いの契約も多数あり、毎月払いの契約では、保険契約者が満期前に死亡した場合であっても、満期が近いと満期まで契約を任意継続することも相当数あります。
 この場合、任意継続することができるのは、保険契約者の法定相続人のみに限定されます。
⑷ 保険契約者であるAが、遺言で、①Aの株式会社かんぽ生命に対する権利を第三者に譲渡できるか、又は②保険金受取人を変更できるかなどは、一般的な説明はできませんが、原則として、権利の譲渡はできません。遺言による保険金受取人の変更については、個別・具体的にその都度の判断となるので、一般論と言われてもそのようなお話はできません。
4 本件事案の取扱い
 本件事案の遺言者及び税理士(遺言執行者に指定される予定)は、郵便局の説明を踏まえ、後日、各相続人及び受遺者間で争いが起こるようでは困るということで、養老保険については信頼できる相続人の一人にお願いしておくこととし、遺言書には書かないということになりました。
 約款(第27条)を読む限りでは、通常どおりの遺言書の記載で保険金受取人の変更ができると思われるのですが、①約款第27条第2項では保険金受取人の変更には、被保険者の同意が必要とされており、同意の有無がその時まで分からない、②保険金受取人の変更の会社への通知は、通常、遺言執行者が行うこととして証書を作成していますが、約款第27条第3項では相続人が会社に通知しなければ会社に対抗することができないとされていることなどがあり、遺言書に書き込むことは諦められたようです。郵便局の窓口では、遺言で変更することは難しいと説明されているのかもしれません。
 遺言書を提示してダメだと言われたら「訴えを起こします。」と言えば直ぐにやってもらえますよ、と言われる弁護士もいます。他方で、この話を税理士にすると、「それは、弁護士が言うからでしょう。我々が言っても、ダメなものはダメですと言われるだけで、やってもらえません。」とのこと。「訴えを起こします。」などと言わなくても済むような実務の取扱いの定着が待たれるところです。
【参考】
普通養老保険普通保険約款(抄)
(平成19年10月1日制定、平成28年4月2日改正)
第1章 保険金の支払
第1条(保険金の支払)
(1) この基本契約の保険金の支払については、次のとおりとします。
 名称     死亡保険金 
 支払事由   保険期間の満了前に被保険者が死亡したとき 
 支払額    基準保険金額
 保険金受取人 死亡保険金受取人 
 名称     満期保険金
 支払事由   被保険者の生存中に保険期間が満了したとき
 支払額    基準保険金額
 保険金受取人 満期保険金受取人
(2) 被保険者が年齢6歳に満たないで死亡したときは、死亡保険金の額は、次のとおりとします。
 被保険者の死亡当時の年齢  3歳に満たないとき
 死亡保険金の額       基準保険金額×50%
 被保険者の死亡当時の年齢  6歳に満たないとき
 死亡保険金の額       基準保険金額×80%
(3) 本条(2)により支払うべき金額が基本契約の積立金の額に満たないときは、支払う金額は、その積立金の額とします。
(4) 被保険者が次のいずれかの事由により死亡した場合には、死亡保険金を支払いません。
 ① 基本契約の責任開始の日からその日を含めて3年以内の自殺
 ② 保険契約者または特定された死亡保険金受取人の故意
(5) 死亡保険金受取人が故意に被保険者を死亡させた場合で、その死亡保険金受取人が死亡保険金の一部の死亡保険金受取人であるときは、会社は、死亡保険金のうち、その死亡保険金受取人に支払われるべき金額を差し引いた残額をその他の死亡保険金受取人に支払い、支払わない部分の積立金を保険契約者に支払います。
第8章 契約関係者の変更
第27条(遺言による保険金受取人の変更)
(1) 第26条(会社への通知による保険金受取人の変更)に定めるほか、保険契約者は、保険金の支払事由が発生するまでは、法律上有効な遺言により、保険金受取人を変更することができます。
(2) 本条(1)の保険金受取人の変更は、被保険者の同意がなければ、その効力を生じません。
(3)本条(1)(2)による保険金受取人の変更は、保険契約者が死亡した後、保険契約者の相続人が会社に通知しなければ、これを会社に対抗することができません。
(4) 保険契約者の相続人が本条(3)の通知をしようとするときは、必要書類(別表5)を会社に提出してください。
第28条(保険金受取人の死亡)
(1) 保険金受取人が保険金の支払事由の発生以前に死亡したときは、新たな保険金受取人は次のとおりとします。
   保険金        保険金受取人
   死亡保険金      被保険者の遺族
   満期保険金      被保険者
(2) 本条(1)の遺族は、次のとおりとします。
  順位  被保険者の遺族
   ①    被保険者の配偶者
   ②    被保険者の子
   ③    被保険者の父母
   ④    被保険者の孫
   ⑤    被保険者の祖父母
   ⑥    被保険者の兄弟姉妹
  (注)⑦以下及び第3項以下 省略
第16章 譲渡禁止
第42条(譲渡禁止)
 保険契約者または保険金受取人は、保険金、返戻金または契約者配当金を受け取るべき権利を、他人に譲り渡すことはできません。
第18章 保険金等の請求および支払時期等
第44条(保険金等の請求および支払時期等)
(1) 保険契約者または保険金受取人は、死亡保険金の支払事由または保険料の払込免除事由が生じたときは、遅滞なくその旨を会社に通知してください。
(2) 保険契約者または保険金受取人は、会社の定めるところにより、必要書類(別表5)を会社に提出して保険金等または保険料の払込免除を請求してください。
(3) 本条(2)にかかわらず、次のすべてに該当する場合で、会社所定の要件を満たしたときは、会社は、保険期間の満了の日の翌日に満期保険金受取人から満期保険金の請求があったものとして取り扱います。ただし、本条(1)の死亡保険金の支払事由が生じた旨の通知または第2条(重度障害による保険金の支払)(1)に基づく死亡保険金の支払を受ける旨の通知が会社所定の期間内になされた場合は、この取扱いは行いません。
 ① 保険契約者が、満期保険金受取人と同一人であり、かつ、法人でないこと
 ② 保険期間の満了の日の翌日に支払うべき満期保険金を振り込むための金融機関等の口座があること
(4) 保険金等は、本条(2)の必要書類が会社に到着した日の翌日からその日を含めて5営業日以内に、会社で支払います。
(5) 本条(3)本文の場合、本条(4)中「保険金等は、本条(2)の必要書類が会社に到着した日」とあるのは、「満期保険金は、保険期間の満了の日の翌日」と読み替えます。
(6) 会社が満期保険金受取人に満期保険金を支払った場合で、死亡保険金の支払事由が生じていたときは、会社は、満期保険金を受け取った者に、民法その他の法令に則り、その返還を請求することができます。この場合、死亡保険金が支払われることとなるときは、会社は、死亡保険金受取人に死亡保険金を支払います。
  (注)第7項以下及び別表5 省略
(中垣治夫)

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